2021年10月10日放送 鈴木一光さん(第2251回)
- 会場
- テレビ静岡(静岡市)
- 講師
- 児童育成協会理事長 鈴木一光
講師紹介
1947年生まれ。明治大学法学部卒業後、
児童指導員として、日本教育開発センターに。
専門は児童福祉、児童館事業。2020年4月より
公益財団法人 児童育成協会の理事長を務める。
第2251回「不易と流行 ~子どもの遊びは不要不急?~」
「コロナ禍という長いトンネルをいつ抜けられるのだろう...。」
そんな不安の中で変わっていく生活、変えずになんとか守り抜きたい生活があります。
自粛生活が続く中、家族で外食する機会は減り、家族旅行も減りました。
心配な点もいくつかあります。
巣ごもり生活で勉強に遅れが出ないか?
朝起きてから寝るまでの時間が不規則に...、そしてゲームなどをやりすぎてしまうのでは?
親も子の不安を感じていることは事実です。
コロナ禍はこれまで誰も経験したことがありません。
専門家でも意見が分かれることも多く流言飛語に惑わされないように注意が必要です。
「不要不急?」常に問われます。
子どもたちにとって「遊び」は不要不急なものなのでしょうか?
感染の危機に直面しているとき学校が休校になることはやむを得ないことです。
子どもは基本的に親や友だち、いろいろな人たちと接触しながら成長していきます。
そしてそれを日々繰り返していくことが成長につながります。
文化人類学者エドワード・ホールは「人との距離」を次のようにまとめています。
0~45cmは「密接距離」幼児と親、恋人同士の距離です。
45~120cmが「個人距離」親しい人が一緒に仕事をしたり、会食をしたりするときの距離です。
そして120~360cm「社会的距離」いわゆるソーシャルディスタンスです。
子どもの視点から見ると、子ども同士密接な距離で遊びたいけれど
ソーシャルディスタンスを保たなければならない、つらいところです。
ですから心の距離を縮めてあげる工夫が必要です。
例えば各地の児童館では、
攻めるときも守るときもお互い2m四方の距離をとる「エリアドッジボール」で遊んだり、
また鬼ごっこは丸めた新聞紙を手に持ってタッチしたりしてソーシャルディスタンスを保っています。
子ども用のボードゲームを貸し出したり、
また離れているおじいちゃん、おばあちゃんに手紙を書いたりして
常に心がつながるように様々な工夫を凝らしています。
もう一方でコロナ禍の緊張状態の中で
子どもたちが病気にならないよう力をつけておくことも大切です。
伝えたいのは「免疫力を高める方法」です。
まず乳幼児期から細菌など微生物にふれること。
除菌生活に慣れてしまいましたが人の身体の表面は実は8000種類もの微生物で覆われています。
その大半は消化を助けてくれたり、悪い細菌から守ってくれたりしています。
そして人を信じ穏やかにつきあっていくためにも「積極的な会話」が必要です。
会話することで自分の考え方が伝わるメリットもあります。
「体温を上げること」も免疫を高める効果があります。
筋トレや入浴で深部体温を上げると効果的です。
そしてバランスの良い食事はもちろん、適度な睡眠と運動を心がけてください。
また、たくさん笑うこと、大きな声で歌うこともストレス発散に繋がります。
こうしたことは長寿や美容の秘訣でもあります。
子どもたちに伝え、子どもたちと一緒に免疫力を高めながら
この長いトンネルの出口を目指して、コロナ禍を乗り切って欲しいと思います。