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過去の放送

過去の放送

2021年10月31日放送 鈴木一光さん(第2254回)

会場
テレビ静岡(静岡市)
講師
児童育成協会理事長 鈴木一光

講師紹介

1947年生まれ。明治大学法学部卒業後、
児童指導員として、日本教育開発センターに。
専門は児童福祉、児童館事業。2020年4月より
公益財団法人 児童育成協会の理事長を務める。


ポイント第2254回「文化の継承 ~知恵と経験を伝える~」

2020年に大ヒットした映画「鬼滅の刃」。

主人公たちのリーダー格「柱」のメッセージがとても印象に残りました。

儚い命の人ゆえに柱は若い者の芽を摘まず、継承を託す。

実はこれこそが人類が生き残ってきた秘訣です。

つまり集団として知恵と力を結集し、それをあまねく仲間に伝えてきたのです。

これが「文化の継承」です。


私は30年近く専門学校や大学で講師をしてきました。

学生の雰囲気はめまぐるしく変わっています。

特に、学校では教わらないこと、これまでは見るともなし聞くともなしに

家庭の中での親子の会話で身につけてきたようなことが、なかなか身についていないと感じます。

例えば、最近はコロナ禍もあって葬儀に参列する機会も少なくなっていますが、

焼香の仕方がわからない若者が多くなっています。

敬語の言葉遣いなども含めて、正統な文化が伝わっていないのでは?と感じることが多くなりました。

かつては周りの大人や仲間たちの言動をよく見て聞いて様々なことを学んできました。

また本を読むことでその中にある生活の知恵を吸収してきました。


アメリカの人類学者、ジョセフ・ヘンリックは著書で「人は文化によって進化した」と記しています。

この本は「無人島に漂着した時に人は生きて行けるか?」という実験データから始まります。

実際に無人島生活では、食べられる木の実やキノコの見分け方、

釣り竿がないのにどうやって魚を捕まえるのか?難しいことが山積みです。

昔の人の生活の知恵というのは相当なものだったと思います。


ひとつ例をあげると若者に人気のタピオカ。

原料は何かご存じでしょうか?キャッサバというイモです。

ところがキャッサバにはシアン化合物の毒素が含まれています。

毒はイモの皮に含まれているので食べるときはまず皮を剥きます。

そして身をすり潰して丹念に水で晒します。

さらに熱湯で煮沸した後、2日間乾燥させて3日目に焼いてようやく食べられます。

安全な食べ方をみつけた先人たちが丹念に後続に伝え、それが受け継がれていまに至っています。


文化というのは同じ土地に住む人たちが共有している知恵全般。

礼儀作法から始まって服の着方、冠婚葬祭のルール...。

そして、生活の仕方ともいえます。

こうした文化を伝えていくのに欠かせないのがリーダー(継承者)の存在です。


リーダーに求められる資質、条件は知性や説得力といった人をまとめる能力。

さらに健康や自制心、そして持続する意志などが挙げられます。

中でも最も大切なものは「人望」=「人柄」です。

多くの成功体験と共に、周りの人たちに「あの人が言うことなら...」

と話を聞いてもらえるような人がリーダーの資質を持った人です。

とはいえ、リーダーの条件をすべて兼ね備えた完璧な人はなかなかいません。

古代ローマ帝国にもカエサルしかいなかったそうです。


完璧を求めないにしてもリーダーの条件を知っておくことは大事なことです。

そのうえで私たちが培ってきた「生活の仕方や知恵」を

子どもたちに丁寧に伝えていきたいと思います。

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