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過去の放送

過去の放送

2022年2月27日放送 鎌田實さん(第2269回)

会場
原地区センター(沼津市)
講師
医師・作家 鎌田實

講師紹介

1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
諏訪中央病院名誉院長。地域医療に携わる傍ら、
イラクや東日本の被災地支援にも取り組む。
「がんばらない」、「大・大往生」など著書多数。

番組で紹介した本

「疲れない 太らない ボケない 60代からの鎌田式ズボラ筋トレ」著:鎌田實(エクスナレッジ)

ポイント第2269回「貯金より貯筋」

コロナ禍でステイホームの状況が2年近く続きました。

その間にしっかり運動していた人と家でじっとしていた人とでは体力面で大きな差が出ています。

そして認知機能の低下。

高齢者だけでなく働き盛りの人も前より仕事の段取りが悪くなったり、

ひらめきが減ったりしたという話をよく耳にします。

さらに体重が2~3㎏増えた人が多いと思います。

コロナ禍で外食が減り、家族で食卓を囲む機会が増えました。

チャーハン、焼きそば、お好み焼き...家族団らんの食卓には炭水化物が欠かせません。

炭水化物の取りすぎは慢性炎症や糖尿病を引き起こすおそれがあります。

こうした事態にどう対処すればいいのでしょうか?

それは、運動です。

血糖値や血圧を下げるためには運動が効果的です。

鎌田式の筋トレを紹介します。


まずは『ワイド・スクワット』です。

胸の前で両手を組みます。

足は肩幅よりやや広め、つま先を逆ハの字に開きます。

そして膝を曲げて沈み込みます。

膝を90度に曲げたらそこからゆっくりと立ち上がります。10回が目安です。

股関節のストレッチになるほか、太ももの筋肉を強化することで

マイオカインという筋肉作動性物質、通称「若返りホルモン」が分泌されます。

そして『ランジ』です。

足を大きく前に踏み出して沈み込みます。次に踏み出す足を変えてもう一回。

これだけです。左右各10回が目安です。

体幹を強化してお腹などの脂肪を減らす効果があります。


「昨日より今日が少しいい。」

私たちは必ず年を取ります。

それまで右肩上がりで来た人もどこかでピークを迎えます。

下り坂になったとしてもその下がり方を少しでもゆっくり、緩やかにしたい...。

そして緩やかに下っていく中で、昨日より今日の方が少しでもいいように

努力していくことが生きていくコツだと思います。


80歳を過ぎたある女性のエピソードです。

乳がんが肺にも転移して酸素吸入が必要でした。

私が緩和ケア病棟の回診に行ったとき、彼女は理学療法士と歩く訓練をしていました。

息はゼイゼイしてとても苦しそうです。

私は彼女に「無理はしないで、がんばらなくてもいいんだよ。」と声を掛けました。

すると彼女は「先生、余計なこと言わないで。私にはやりたいことがあるのよ。」と。

そのために歩く練習をしていたのです。

ちょうど梅の季節、「家に帰って梅の漬け方をみんなに教えておきたい。」

それが彼女のやりたいことでした。

自分の余命も全部わかっていました。

リハビリをしていたのはその願いをかなえるために必要な筋肉を鍛えていたのです。

そして彼女は自分で外泊の日を決めました。

既に梅を漬けるための準備は全て整い、親せきも集まることになっていました。

「その日漬けた梅が熟す頃、自分はもう生きてはいないし、食べることもできない...。」

そのことを彼女も知っています。

その梅を子どもや孫たちが味わい、近所の人たちにお裾分けして

「少しでも自分を偲んでくれたら幸せ。」彼女はそう言いました。


彼女は全部自分で決めました。

すると納得ができるのです。感謝することができるのです。

それを支えていたのが筋肉だったのです。

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