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2022年3月13日放送 ジェフ・バーグランドさん(第2271回)

会場
テレビ静岡(静岡市)
講師
京都外国語大学教授 ジェフ・バーグランド

講師紹介

1949年米国生まれ。高校教師歴22年と、
大学の指導では20年以上のキャリアを誇る。
50年以上京都に住み、京都国際観光大使も務める。
専門は観光と異文化コミュニケーション。


ポイント第2271回「素朴な疑問から新発見」

「じぃじ、人間にとって大事なものはなんですか?」

ある時、孫から聞かれました。孫の気持ちからすると、いつも両親から「勉強しなさい。」と言われることへの素朴な疑問が背景にあったのかもしれません。私は「大事なことはまず健康、つぎに人間関係、そして好奇心だよ。」と答えました。健康は身体だけではなく精神的な健康も大事です。また家族や友人、周りの人たちと仲良くすること。そして人は生まれたときから好奇心を持っています。しかし、いつの間にか素朴な質問は「今更聞きにくいし、間違っていたら恥ずかしい...」と影を潜めてしまいます。だからいつまでも好奇心を持ち続けることが大事です。

私が高校で英語を教えていた頃のエピソードです。Be動詞の説明をしていました。存在を表す動詞(am is areなど)です。すると一人の生徒が「先生、B動詞はわかったけどA動詞は?」と質問しました。その生徒はBeとBを勘違いしていたのです。Be動詞のほかは動きを表す『Do動詞』、もちろんA動詞はありません。その時、私は「いい質問です。」とその生徒をほめました。あとで聞くと生徒の友だち数人も「A動詞は何だろう?」と思っていたそうです。

今の時代は、問題に『正解する力』よりむしろ『質問する力』が求められています。言い換えると『問題発見力』です。

孫と一緒にいると素朴な疑問がたくさん出てきます。「じぃじ、なんで冬は日が短くなるの?」こうした質問はうれしくなります。孫と一緒に考えることができるからです。

こんな質問もありました。「なぜ家の近くにはイチョウの木が多いの?」私の家の近くには本能寺があって『火伏せのイチョウ』が保存されています。イチョウの木は水分が多いので、街路樹に多く使われているのです。素朴な質問は時として歴史や自然科学の勉強にもつながります。

教科書で答えのある問題を解くことはみんなが同じ知識を持つことに役立ちます。しかし、いまの時代は素朴ないい質問ができる子どもを育てることが大切です。

学校でも先生と生徒が同じレベルで一緒に課題に取り組むべきだと思います。ニューヨークのある小学校で、算数の授業中生徒が「セントラルパークの木の葉っぱの数はどれくらいですか?」と質問をしました。大きな公園ですから数えようがありません。しかし先生と生徒たちは実際にセントラルパークに行き、あるグループは木の数を数えました。その他は数人に分かれて1本の木の葉っぱの数を数えました。生徒たちは足し算やかけ算という算数の基本を、実体験を通して学ぶことができました。

私たち大人は、子どもの素朴な質問を否定したり、答えだけ返して終わりにしたりするのではなく、まず「いい質問だね。」とほめること、一緒に考えることが大切です。そして子どもだけでなく、私たち大人もいつまでも『好奇心』を持ち続けたいものです。

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