テレしず ホーム > テレビ寺子屋 > 「一心」で銀メダルへ

テレビ寺子屋毎週日曜日 午前6時30分~

トップへ戻る

公開録画会場 随時募集中!

全国の放送予定はこちら

  • お知らせ
  • 寺子屋の歩み
  • 次回の寺子屋
  • 講師紹介
  • 過去の放送
  • 会場募集
  • ご意見・ご感想

過去の放送

過去の放送

2022年5月 1日放送 田中ウルヴェ京さん(第2278回)

会場
テレビ静岡(静岡市)
講師
スポーツ心理学者・博士 田中ウルヴェ京

講師紹介

ソウル五輪シンクロ・デュエット銅メダリスト。米国大学院修士修了(スポーツ心理学)。慶應大学にて博士号取得(システムデザイン・マネジメント学)。慶應義塾大学特任准教授。トップアスリートや経営者など幅広く心理コンサルティングに携わる。一男一女の母。


ポイント第2278回「「一心」で銀メダルへ」

2021年、東京パラリンピックで車いすバスケットボール男子日本代表が銀メダルを獲得しました。このチームが実践してきたメンタルトレーニングを紹介します。

メンタルトレーニングは本番の大舞台で普段通りの実力を発揮するするための訓練。障がいがあってもなくても同じです。自分が理想の動きをするためにどんな感じ方や考え方が必要なのか、自分自身を知ること。重要なのは行動と思考、感情の関連を知ることです。それがメンタルトレーニングの第一歩です。

自分の心の動きに気づくとそれぞれの選手に違った考えがあることに気づきます。そして競技を始めたきっかけもそれぞれ違う「多様なチーム」が浮き彫りになりました。先天的な障がいで小さい頃から車いすで生活しながらバスケに親しんできた選手もいれば、大学生まではサッカー選手だったけれど交通事故で足が不自由になり車いすバスケに出会った選手もいます。それぞれの選手に事情があり、みんな違うこと(多様性)が前提になっていました。

「チームがひとつになるにはどうすればいいのか?」選手たちの本音が聞こえてきました。確かに同じチームで同じ競技をしていても「人を信じる」のは難しいことです。そして共通の目標であるはずの「勝ちたい」理由も人によって違います。

東京パラリンピックが近づくとチームのリーダー格のベテラン選手が「若手選手はみんなちゃんとやっていない!」と怒っていました。合宿が終わってチームが一旦解散すると「個別練習で手を抜いているからシュートの決定率が上がらない。」と話していました。

私は「もしかしたら技術的な癖を直している最中なのかも...。」と考え「何か理由があるのでは?」とアドバイスしました。するとベテラン選手は目に見える行動だけで判断していた自分に気づきました。行動にはそれぞれの背景があります。若手選手は勝ちたいからこそ調子が上がらない自分にいらだっていたのかもしれない...。気持ちは見えないのです。

ベテラン選手は人を信じられない自分、自分が目指す「勝ちたい」のプロセス通りに人が動いて欲しい自分、自分の中に様々な感情や思考があることに気づきました。もちろん他の選手たちも同じことに気づき始めました。そしてチームのキャプテンが「一心」という言葉を掲げてチーム全体で共有するようになってからはひとりひとりがいまの心の状態を率直に話せるようになりました。文字通り「心をひとつ」にして戦う気持ちです。

車いすバスケ男子日本代表はもともと仲の良いチーム。ただ仲が良いだけではお互いの本音を言いにくかったりします。その状況を乗り越えてひとつの目標に向かって本当の自分をさらけ出し、お互いが違うことを知りながら、その違った自分たちが今日できることを思いっきりやる。「一心」にたどり着いたことが銀メダルの原動力になりました。

ページの先頭へ

ページの先頭へ