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2022年5月15日放送 田中ウルヴェ京さん(第2280回)

会場
テレビ静岡(静岡市)
講師
スポーツ心理学者・博士 田中ウルヴェ京

講師紹介

ソウル五輪シンクロ・デュエット銅メダリスト。米国大学院修士修了(スポーツ心理学)。慶應大学にて博士号取得(システムデザイン・マネジメント学)。慶應義塾大学特任准教授。トップアスリートや経営者など幅広く心理コンサルティングに携わる。一男一女の母。


ポイント第2280回「自分の弱さを言える強さ」

メンタルヘルスとは文字通り「心の健康」です。「ウェル・ビーイング」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。身体も心も良好な状態のこと。「幸福」とも翻訳されます。

東京オリンピック、パラリンピックではメンタルの不調を隠さず発信するアスリートが増えました。トップアスリートでも心に問題を抱えています。それは、いつの時代にもあったものですが近年になって「もっと表に出すべき」という流れになってきました。

日常生活でケガや病気はつきものです。例えかすり傷でもすぐに手当てしないと回復までの時間が伸びてしまいます。ケガや病気の予防まで考えるのがフィジカルです。実はメンタルも一緒です。心がケガをすることがあります。ただ、心のケガは他の人には見えません。自分にしかわかりません。メンタルヘルスは身体の健康と一緒で自分をしっかり知ることが大事です。

アスリートはこれまで「自分の心の弱さを人には言いたくない。」という傾向がありました。それが大きく変わったのは、自分の心の弱さを口にすることがどれだけ本人のために役立つか、心理学的な理解が広まったことが背景にあります。言葉で表す(言語化する)ことが課題を解決する力になるからです。

「悩む」ということは、自分が持つ課題を知ろうと努力して真剣に向き合うことです。大切なのは、自分の心の状態を知ることです。夜寝る前に「きょうの自分はどうあったか?」自分に質問してみてください。どんな時に心地よくて、どんなことが心地良くなかったのか?そして朝起きた時に「きょうの自分はどうありたいのか?」考えてください。自分の心の状態を朝に具体化して、夜に検証します。この繰り返しによって心が整理できるようになります。

この「どうあるか」こそがウェル・ビーイングです。ビーイングとは「ありよう=存在」です。そして身近な人が心のケガをするときもあると思います。そんな時は「解決しない」ことです。悩みはその人にとって「人生の課題」そのもの。そして自分で解決しなければなりません。「課題」というと嫌な感じがするかもしれませんが、積み残してしまうと後で大変です。だから少しずつで構いません。自分で解決する能力を伸ばしながら「心の引き出し」を増やしていってください。

弱さを人に言えることでお互いが強くというよりは、しなやかになれます。「自分の弱さを言える強さ」は、目に見えない自分の心と向き合い、心の在り方を整えられるようになること、つまりメンタルヘルスリテラシーを高めることになるのです。

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