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過去の放送

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2022年5月29日放送 川村妙慶さん(第2282回)

会場
テレビ静岡(静岡市)
講師
僧侶・アナウンサー 川村妙慶

講師紹介

福岡県生まれ。真宗大谷派僧侶。
関西を中心にラジオ番組のパーソナリティーなどをつとめる。
ホームページで日替わり法話を毎日更新し、
メールでの悩み相談にも応じている。


ポイント第2282回「焦らない生き方」

こころに余裕がなくなったとき、焦ってしまうことがあると思います。「焦る」という字の部首「灬」(れっか)が表すのは「火」です。どんどん火力が強くなると焦げてしまいます。煩悩のひとつに自分と他人と比較する「慢の心」があります。いまはネット社会で、「誰かが結婚した、受験に合格した...」などSNSには幸せいっぱいの姿があふれています。そんな姿を見ると、自分だけが取り残されたような気持ちになり焦ってしまうことも。

ある二人の例をみてみます。80歳くらいの男性が「もうしんどい、生きるのがつらい」と言いました。すると隣にいた人が「人生100年時代、あと20年頑張らないと」と励ましました。もう一人は友人の子どもで15歳の少女です。彼女は「もう学校に行きたくない」と言いました。すると母親は「将来はどうするの?」と問いかけました。この二人の共通点はあるものが無視されてしまっていることです。それは「今」です。二人とも今がしんどいといっているのに誰も今を見てくれないのです。

私の師匠が80歳の誕生日を迎えたときのことです。師匠は「初めて80歳になりました」と挨拶しました。その言葉がとても新鮮でした。歳を重ねるとなかなかその年齢を味わえなくなってしまいます。しかしその年齢はその一年だけ。翌年になると次の年齢です。

さらに師匠は「若い頃、『年寄りは怒りっぽい』と思っていたけれど、この年になると耳が聞こえづらくなってイライラしたり、焦ったり...。補聴器をつけてみて初めてそれがわかった」。そして「人は余裕がなくなると心が荒れてしまう...だからいま改めて仏教の勉強をさせてもらっています」と続けました。

仏教には「活命(かつみょう)」という言葉があります。「今いただいている命を活かしなさい」という教えです。生きていると苦しいことがあります。イライラしたり悲しい思いをしたりすることもたくさんあると思います。しかし、ここで焦って強い火で気持ちを焦がしても残念ながら状況は変わりません。そんな時は、周囲を見渡して自分の存在をしっかりと確認してください。そして自分は自分として、大切な命をいただいていることに喜びを感じてください。その豊かな気持ちが成長につながるのです。

焦ったときはあれもこれも...と考えすぎると余裕を失ってしまいます。その時はひとつに絞りましょう。それが「焦点」となって堂々と潔く生きることができるのではないでしょうか。つらいときも、苦しいときも、もちろんうれしいときも。そのすべてが私たちに与えられた命です。その命を活かしていきましょう。その余裕が心豊かに生きられるということです。

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