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過去の放送

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2022年7月17日放送 新田恵利さん(第2289回)

会場
静岡県男女共同参画センターあざれあ(静岡市)
講師
タレント 新田恵利

講師紹介

1968年生まれ。1985年おニャン子クラブの
メンバーとしてデビュー。会員番号4番。
現在は、タレント、女優、執筆業だけでなく、
介護に関する講演なども多数行っている。

番組で紹介した本

「悔いなし介護」著:新田恵利(主婦の友社)

ポイント第2289回「悔いなし介護」

私は突然、母の介護をすることになりました。6年半の介護生活でした。

もともと旅行好きで行動的な母が寝たきりになった原因は骨粗しょう症でした。診断を受けたのは母がまだ50代、私が中学生の頃でした。その後、骨粗しょう症による圧迫骨折で入退院を繰り返しましたが、痛みがなくなれば日常生活に戻っていました。

ところが2014年の秋、入院して10日ほどすると母の様子が変わりました。会話がちぐはぐになってしまうのです。母はいつも私が出演する番組を楽しみにしていました。病院で母に「見た?」と尋ねると「恵利ちゃん、何でニュース番組に出ていたの?」と言いました。私が出ていたのはバラエティ番組、娘を見間違えてしまったのでしょうか?ショックな出来事でした。

さらに父親の話題。「お父さん家で何してる?」と母に聞かれました。実は私がソロデビューする一週間前に父は他界、それから30年が経っていました。「これが認知症...?」私の頭の中はパニック状態でした。

高齢者の意識障害としては認知症、そして同じような症状で「せん妄」があります。せん妄は一時的なもので、急激な環境の変化が原因で症状が出ることがあります。母の場合は入院です。環境が戻れば治ることもあります。ところが、退院する日になって母が立てないことを知りました。これが介護の始まり、青天の霹靂でした。

それからやることはたくさんありました。大人用のおむつはどうするのか?介護ベッドは借りるのか、買うのか?それすらわかりません。「自分の頭と心を整理しないと前に進めない」そう思った時、ふと、愛犬が亡くなり悲しくてどうしようもなかった時にブログに想いを綴ったことを思い出しました。そして自問自答しました。「親が老いることは悲しいことだけど恥ずべきことではない」では「老いて人の手が必要になることは?」「全然恥ずかしくない」そう思えたのでブログに書きました。すると大きな反響がありました。励ましの言葉とともにたくさんの学びがあり、勇気をもらったり不満を解消してくれたり...題して「言いふらし介護」です。ひとりで抱え込まずに声を大にして言いふらして欲しいと思います。

私と母はもともと仲の良い親子だったので延命治療はしないとか、家族葬だけでいいとか、普段から話をしていました。ある日ふたりでテレビを見ていると白い着物の「死装束」を紹介していました。母に「これ着るの?」と尋ねるとしばらく考えて母は「ウェディングドレス」と答えました。昭和3年生まれの母は結婚式もドレスではなかったので、密かに憧れていたのでしょう。ハンドメイドでウェディングドレスを作って母との約束を果たせたことは良かったと思います。

信頼関係があったからこそ、母はすべて私にゆだねてくれました。そして私も母の意に沿った介護と看取りができたことは、私にとって、残された家族にとって本当に幸せな時間でした。

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