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2022年12月25日放送 汐見稔幸さん(第2312回)

会場
御殿場市民交流センターふじざくら(御殿場市)
講師
東京大学名誉教授 汐見稔幸

講師紹介

1947年大阪府生まれ。日本保育学会会長や
白梅学園大学学長など歴任。ぐうたら村村長。
専門は教育人間学、保育学、育児学。
現代の父親、母親の育児の応援団長をめざしている。


ポイント第2312回「新しい学校」

教えから学びへ、子どもたちの主体的な学びを応援する新しいタイプの学校が注目されています。20年後には、様々なタイプの学校の中からその子に合う学校を選ぶ時代が来ると思います。

山梨県南アルプス市に「きのくに子どもの村学園」の小学校と中学校があります。小学校には1年生から6年生までの年齢の子どもたちがいますが学年やクラスはありません。教科やカリキュラムもありません。その代わりに、子どもたちが話し合って何をやるのかを決める「プロジェクト」というものがあります。ある年のプロジェクトは「農業」。1年かけていろいろな野菜を育てました。「建築」や「環境問題」、「演劇」のプロジェクトもあります。先生はいません。いるのは「大人」。子どもたちと対等な関係です。子どもたちが自ら考え、自分たちで運営するのがこの学校の特色です。

この学校は大阪市立大学元教授の堀真一郎さんが、イギリスのサマーヒルという新しい学校を作った教育者ニイルの考え方をもとに創設しました。20世紀はじめころの「新教育運動」、そのリーダーのひとりだったジョン・デューイ(アメリカの教育者)の思想も取り入れています。きのくに子どもの村学園は「楽しい」をキーワードにした学校で、映画「夢みる小学校」でも紹介されました。文部科学省に認可された小学校です。

義務教育は、学校に行かなければならない「義務」が子どもにある訳ではありません。子どもは教育を受ける権利が保障されています。質の高い教育を提供することは、社会や大人に課せられた「義務」です。子どもたちが「楽しい!」と思える学校を作る義務が大人にはあると思います。

ある大学のゼミに、きのくに子どもの村学園で学んだ生徒たちがいます。彼らが他の学生と違うのは、しっかり質問ができることです。人間的に伸びるのは質問ができる学生です。彼らは自分で考え、自ら学ぶ習慣が身についています。

千代田区の麹町中学校、世田谷区の桜丘中学校など、公立の学校でも新しい取り組みが見られました。例えば、校則がないこと、定期試験がないことです。「何事も子どもたちの話し合いで決める」というのが基本的な考え方です。授業に出ることも義務ではありません。もし授業がつまらない場合は、先生に「授業のやり方を変えてくれませんか?」と言うのも自由です。子どもたちが自分の意見を言えるようになると責任感が強くなります。学びが真剣になります。生徒たちが自ら学ぶようになると「やらされている」という感覚が減ってきます。校則はなくても、自分たちでルールをつくっていきます。生徒たちを信じることが大事です。

「学ぶことは、おもしろい」と実感できるのが教育の場です。アートに力を入れている学校、サイエンスに特化した学校、いろいろなタイプの学校があっていいと思います。子どもが主体的に自分の学びを自分で作っていく。子どもたち信じてそれを応援して行ける学校が「新しい学校」です。

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