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過去の放送

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2023年5月14日放送 鎌田實さん(第2331回)

会場
菊川文化会館アエル(菊川市)
講師
医師・作家 鎌田實

講師紹介

1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
諏訪中央病院名誉院長。地域医療に携わる傍ら、
イラクや東日本の被災地支援にも取り組む。
「がんばらない」、「大・大往生」など著書多数。

番組で紹介した本

「60歳からの『忘れる力』」著:鎌田實(幻冬舎)

ポイント第2331回「忘れる力」

僕は74歳です。74年生きてくると失敗談もあるし、恥ずかしいことをしてしまったこともある。忘れていいことが結構あるなと思って書き出してみたら、60個もありました。嫌な人間関係とか、他人の評価なども、忘れちゃっていいんじゃないかと思います。そうしたら、生きる自信がわいてきて、もっと楽しく人生が送れるのではないでしょうか。「忘れる力」、言い換えると「忘却力」についてお話しします。

年を取ると忘れやすくなっていくというのは確かです。僕たちには「忘れていいもの」を「忘れる力」が無意識に働いていて、もっと上手に意識的に忘れていったら、人生はすごく楽になる。生きることにもっと積極的になり、面白くなっていくのだと思います。


【人間の脳は忘れるようにできている】

記憶するためには、①覚える(記銘)=脳の中にたたきこむ→②覚えている(記憶を保持する)→③ときどき思い出す(想起する)。記銘して、保持して、ときどき思い出す(想起する)ことによって、僕たちの記憶は成り立っていくわけですが、ときどき思い出さないということは、結局あまり大事なことでないから、忘れていくんです。

みな、「忘れる」ことばかり気にかけて、認知症になりかかっているのではないかと心配するのですが、自然な私たちの取捨選択が、「記憶しなくていいもの」を「忘れて」いるのです。


【ときにはつらい現実を忘れる】

つらい現実があったときにどうやって忘れるかと言うと、「ちょいホ」「ちょいニヤ」「ちょいウマ」が大切だと僕は言っています。「ちょいホ」とは、少しだけ現実を忘れてホッとする時間。「ちょいニヤ」は、大笑いはできないけどニヤッとする時間。そして「ちょいウマ」は心が弾むような食事。心を回復するための時間です。

東日本大震災が起きたあと、福島県の南相馬に救援に入りました。震災後、一度も温かいものを食べていないという話でしたので、温かいレトルトのおでんを。そして、避難所で出すかどうかけっこう議論はしたのですが、「コップ一杯だけ」という約束でビールを用意しました。すると、漁師さんたちが、「いやあ、生きてるなって、やっと感じた」と言うんです。

被災地だけでなく、失恋をしたり、嫌なことがあったりしたときに、「おいしいものをちょっと食べに行くか」と、家族で行くというのは、とても大事なことです。つらい現実はなかなか忘れられません。本当に解決するには何年もかかるかもしれないけれど、「みんなでおいしいものを食べてみようか」という気持ちが大切だということです。


【人生の8割は忘れていいこと】

パレートというイタリアの経済学者が提唱した、大事なことは2割なのだという「2:8(ニッパチ)の法則」があります。人生の8割はうまくいかなくても、場合によっては忘却力で忘れても、2割のところに集中して、一生懸命生きれば、面白い人生が待っているのではないかと思います。

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