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過去の放送

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2024年9月 8日放送 落合恵子さん(第2397回)

会場
雄踏文化センター(浜松市)
講師
作家・クレヨンハウス主宰 落合恵子

講師紹介

1945年栃木県生まれ。執筆活動と並行して、
子どもの本の専門店クレヨンハウスなどを展開。
総合育児・保育雑誌「月刊クーヨン」や、
オーガニックマガジン「いいね」の発行人。

番組で紹介した本

「ママたちが言った」
文:アリシア・D・ウィリアムズ
絵:ブリアナ・ムコディリ・ウチェンドゥ
訳:落合恵子(クレヨンハウス)

「ルビーの一歩 私たちすべての問題」
著:ルビー・ブリッジズ 訳:千葉茂樹 (あすなろ書房)

ポイント第2397回「あなたは、守られていますか?」

私たちはみんな、人種や肌の色が何であろうとそれぞれ違いを持っていて、その違いを大事にし合う、違いが差別の理由にならない社会を作っていくことが最も大切なことだと思っています。平和のためにも基本的人権を守っていくためにも、ぜひ一緒に考えてください。

アメリカのルビー・ブリッジズさんが書いた「ルビーの一歩」という本があります。ルビーはその町の白人だけが通う小学校に6歳で入学した時に、「学校に来るな」と様々な迫害を受けます。他の子と違うのはたった一つ、肌の色。けれど肌の色は、彼女は選んでいないのです。

本にはこう書かれています。

『白人だけの学校に通いはじめた最初の日、白人の親たちが駆けつけて、自分の子どもをつれかえってしまいました。自分の子どもを、わたしといっしょに通わせたくなかったから。でも、どうして?わたしにはわかりませんでした。その人たちは、それまでに一度もわたしと会ったことはありません。なのに、わたしがどんな人間なのかを、どのように知ったというのでしょう?でも、どんな人間なのかはどうでもよかったのです。その人たちは、わたしをひとりの子どもとしてさえ見ていなかったのだと思います。見ていたのは、ただわたしの肌の色だけ。わたしは黒人です。ただそれだけで、わたしをなんの価値もない人間と判断していたのです。』

多くの差別は、こんなふうに理不尽なものです。どの国で起きたとしても理不尽です。きっちりとした説明などできないのです。これはもう60年近く前の出来事ですが、残念ながら変わっていません。


私が尊敬する大好きな詩人、石川逸子さんの「風」という詩があって、その中に次のような言葉があります。

『遠くのできごとに人はうつくしく怒る』

私たちの国もありませんか?遠くの出来事には美しく怒ってみせる私たちが、目の前にある差別には距離を取ってしまう、目をそらしてしまう、知らなかったふりをする。今、目の前にある差別にも「違うと思います」と手を上げることが可能でしょうか?可能でなければいけないのです。手を挙げた人、一人が目立ってしまう社会は悲しすぎますね。誰かが手を挙げたとき、「私もそう思います」ぐらいは言えるはずです。それが、私たち大人が、次の世代の子どもたちに贈ることができる大事なテーマだと思っています。

20世紀は戦争の世紀と呼ばれました。21世紀になり24年目を迎えています。「どこに進むのですか?何を見て進み、何を理想とするのですか?」と、もう一度問いかけていくことができたらいいなと心から思います。すべてはどこかの話ではなく、引き寄せて自分の話であると見つめていきたいです。

あなたのお子さんお孫さんが、あるいは血のつながりはなくても、あなたをとても大事に思っている子どもたちが、何かあった時「あの人のところへ行って相談しよう」と思ってくれたら、こんなに嬉しく誇りに思うべきことはないですね。私たちはそんな大人の一人でありたいなと心から思っています。

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