2024年10月 6日放送 住田裕子さん(第2401回)
- 会場
- アミューズ豊田 ゆやホール(磐田市)
- 講師
- 弁護士 住田裕子
講師紹介
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、検事に。
1988年、女性初の法務大臣秘書官となる。
1996年、弁護士に転身。テレビ番組などでも活躍。
NPO法人長寿安心会の代表も務める。
第2401回「住田流 子育て・孫育て」
仕事を持ちながら子育て・孫育てをするのは、そんなに甘いものではありません。子育ての要諦ははっきり言って、自分一人で頑張りすぎないことです。
男女雇用機会均等法の前は、「女の人が仕事をするなんてとんでもない」という時代でした。私は結婚のときも、転勤のときも、「夫の邪魔をしないように早く辞めるのがいいよ」と言われました。妊娠と出産予定の報告に行った時も「おめでとう。で、いつ辞めるの?」なんですよね。今だったらマタハラと言われます。当時はこれが当たり前のようでしたが、私は「いや、やめません。でも、ちょっとお休みさせてください」と仕事を続けました。
第二子のときも同じ職場だったので「産みますよ」と宣言してから産みました。その時は「いいよ、いいよ。ちゃんと仕事してるんだから大丈夫」って、1人目の実績がものを言ったんですね。育休もない時代ですから、産前産後の休暇のみで復帰しなければなりません。家族と相談し、保育園に預けました。
子育て中も法廷の仕事に穴を開けるわけにいきませんし、いろんな方の手を借りました。親、近所の人、保育園で知り合った人、もう本当にいろんな人にお願いしまくりました。もっと言います、「手抜き」しました。とにかく子どもに関わることが一番優先。子どもと接する時間をできるだけ確保したかったので、掃除も洗濯もお願いできることはお願いして、いろんな意味で手抜きしたんです。
そのあと私は法務省の民事局へ、そして大臣秘書官に指名されました。女性として全国初、全省庁初のことでした。だんだん子どもとの時間を確保するのが難しくなり、夫の母にお願いして平日同居という形をとりました。保育園、小学校の間は夫の母がほとんど母替わりをやってくれたのです。
当時は検事。そして今は弁護士。テレビに出たりして何が一番困るかって言ったら、子どもが非行に走ることです。非行に走らないために大事な二つの「謝」があります。まずは非を認める「ごめんなさい」という謝罪の「謝」。もうひとつは人間関係をうまくする「ありがとう」という感謝の「謝」。この二つの言葉を忘れないようにと思って心掛けてきました。
「ありがとう」、「ごめんなさい」これを親が実践するんです。子どもっていうのは親、おじいちゃん、おばあちゃん、一緒に住んでいる人の背中を見て学びます。「学ぶ」は「真似ぶ」、真似するんです。「親の背を見て子どもは育つ」というのはその通りだと思います。そういう意味では、お手本・ロールモデルってすごく大事なんですよね。大人がいいところでお手本に、そしてダメなところも「これはやっちゃいけない、そこを乗り越えればいいんだよ」ってお手本を見せてほしいと思います。
でも、そんなに焦らなくても大丈夫です。子ども・孫は「愛」が大事、「いいね!」と存在そのものを受け入れましょう。自分なりの姿で生きていける、それでいいんだよっていうような、そんな生き方ができたらいいですね。