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2024年12月 1日放送 尾木直樹さん(第2409回)

会場
聖隷クリストファー中・高等学校(浜松市)
講師
教育評論家 尾木直樹

講師紹介

1947年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、
教師として22年間子ども主役の教育を実践。
その後大学教員に転身し22年教壇に。現在は
法政大学名誉教授、臨床教育研究所「虹」所長。


ポイント第2409回「子どもセンタードの時代」

今、社会の在り方が「子どもを中心にした社会=子どもセンタード」に急激に変わっています。

子どもの施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための法律「こども基本法」が2023年4月に施行されました。政府は「子ども真ん中社会」を目指すことを決定したのです。それまでは「子どもを先頭に」という「子どもファースト」という言い方をしていましたが、「子どもセンタード」はそれとは違い「子どもを『真ん中』にしてみんなが手をつなぎ、助け合い繋がり合い、平和で安全、安心な社会を作っていきましょう」というイメージです。

それを受け2023年12月に「こども大綱」が決まりました。子どもたちがいじめを受けないなど6つの柱があり、国レベルで進めていきましょうということで、政府や自治体がまず始めたのが「子どもの声を聞く」ということ。これが一番大事な土台です。

公立の小中高校などではいま、「子どもの政策や決まり事には子どもの声を聞く」となりましたから、「制服や校則はこれでいいのか」など、子どもたちが参加して先生や保護者会と一緒になってみんなで協議して、どんどん変えている真っ最中です。

政府は「こども基本法」に従って具体的に動き始めるときに、子どもたちから1万件の声を聞くことにしました。責任者は、「子どもの声を聞き取りたいのだけど、どうすればいい?」と、その聞き取り方から子どもたちに聞いたのです。「ネットでやればあっという間だよ」と、子どもたち。さらに、「例えばシングルファーザーとかシングルマザー。それから若い子どもたちが家族の面倒を見ざるを得ないヤングケアラーとか、虐待を受けているかもしれない家庭の子どもとか。こういう子どもたちからの声はネットではなくてダイレクトに聞いて」と言ったのです。いいこと言いますよね。政府の担当者は、本当にダイレクトに聞き始めました。このように、子どもたちがいま主役になって動き始めています。ちょっと花を添えるみたいな形で「子どもも参加していいよ」ではなく、中心的な役割を担う、本当に「センタード」になった参加です。

それを、家庭でもやっていく必要があると思います。いま、学校が変わりつつありますから、親が古い価値観のままでは違和感があり、いろいろストレスも大きくなります。家庭でも特に中高校生くらいになったら「君はどう思う?」「あなたの考えは?」とその声を尊重してみると、子どもはどんどんしっかりと成長していきます。

このようにすっかり時代は変わってきています。現役のお父さん、お母さん方たちがどう生き抜いていくのか、高齢者はどういう役割を果たすのかも大事です。「子どもを中心にしたこれからの社会の在り方」を、みんなで一緒に考えていきましょう。

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