2025年1月12日放送 沼田晶弘さん(第2414回)
- 会場
- 御殿場市民交流センターふじざくら(御殿場市)
- 講師
- 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭 沼田晶弘
講師紹介
東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカの大学院へ。スポーツ経営学の修士課程を修了。児童の自主性、それを引き出す斬新でユニークな授業が数多くのメディアで話題となる。著書多数。
番組で紹介した本
「子どものやる気を引き出す『ほめる』よりすごい方法39」著:沼田晶弘(高橋書店)第2414回「「ほめる」よりすごい方法」
「ほめて自己肯定感を高めよう」という言葉がSNSに踊っています。ほめるところを探して何とかほめよう、失敗しても良いところを見つけようとほめ疲れしていませんか?「ほめるより子どもがのびる良い方法」があれば、みなさん実践しますよね。
例えば子どもが漢字テストで満点をとってきた時、「すごい」とほめるよりもさらに効果的なのは、お母さんが「やった!嬉しい!」と喜ぶことです。親が喜んでいるのが一番です。喜んでるお母さんを子どもはもっと喜ばせたくなるのです。必要なのは「ほめられ方を伸ばす」こと。ほめられたらいい顔をする、おいしい時はおいしい顔をする。我が子が「息子さん、足が速いですね!」とほめられても、「でも、漢字が全然できなくて」などと答えていませんか?ほめられたら「ありがとう」でいいんです。そして、嬉しい顔をする。「ほめられ方」を伸ばしていると、相手はほめたくなります。「この人のことをほめたら笑顔になってくれる」とわかっていたら言いたいでしょう?
ほめるよりすごい方法、次は「覚悟を決めて全部やらせる」。子どもが「お手伝いする」と言っても、親は心配でずっと見ていて、手助けしたりしますよね。
僕の友人の1年生の子が、「皿洗いする」と言ったんです。ここで普通は横で親がフォローしながらやりますよね。僕は友人に、「とにかく全部任せてごらん」と言いました。
母である友人は、濡れていく床を歯ぎしりしながら、でも、何も言わないでじっと見ていました。洗い終わった娘に「床がびちょびちょだよ」と言うと、娘さんは驚くほど大量のキッチンペーパーで床を拭き始めました。友人はここでも何とか耐えて全部綺麗に片付いたところで、「明日もまたやってあげるね」と言った娘に、笑顔で「よろしくね」と言ったそうです。
すると、翌日奇跡が起きました。娘さんは床にキッチンペーパーを敷いてから洗い物を始め、皿洗いが終わった後、なんとキッチンペーパーは濡れていなかったそうです。最後まできっちり自分で拭いたことによって、気をつけるようになったんですよね。途中で失敗しないように親が手や口をだすと、本人はなぜここに水がこぼれているのか分からない。こぼれたらどうしたらいいかも分からないのです。
やってあげるから、できなくなってしまう。だから、覚悟を決めて全部やらせる。覚悟を決めてやらせられないことは、まだやらせなくていいのです。
さらに、もうひとつの方法は「ポジティブワードで注意する」。
「○○しないと××しないよ」という言い方はやめましょう。「ご飯を食べないとアイスなしだよ」ではなく、「ご飯を食べてアイス食べよう!」とできるだけポジティブワードに変えたいのです。学校の廊下でもよく「走るな!」と言いますが、言葉はとにかくポジティブにしたいので、僕は「歩け!」と言っています。
「ほめるよりすごい方法」で、ぜひみなさんも楽しく子どものやる気を引き出してください。