2011年12月24日放送 長倉洋海さん(第1768回)
- 会場
- 富士市立大淵小学校
- 講師
- フォト・ジャーナリスト 長倉洋海
講師紹介
1952年北海道生まれ。
通信社勤務を経てフリーの写真家となる。
以降、世界の紛争地を精力的に取材。
2011年9月から12月にかけ、福島、岩手、宮城で取材、撮影した
「だけど、くじけない―子どもたちからの元気便」(NHK出版)を出版。
番組で紹介した本
番組で紹介した本
「アフガニスタンの少女マジャミン」
著者:長倉洋海
(新日本出版社 税込1,680円)
第1768回「アフガニスタンの少女マジャミン」
アフガニスタンは、戦争が終わりかけて平和が訪れたかと思ったら、
未だにタリバンや自爆テロなどがあり、難しい国というイメージがあります。
私は、縁あって何度も訪れ、友人のように感じる指導者マスードに出会い、
今は150人が通う山の学校の支援をしています。
笑顔が素敵なマジャミンはその学校に通う小学校4年生です。
マジャミンとは笑顔という意味でお父さんがつけてくれた名前だそうです。
彼女は毎日の水くみや炊事などで、手はひびわれ、真っ赤な頬をしています。
でもそれが彼女たちの生きている証しのように思え、写真家としてはとても魅力に感じます。
山の学校は、教室が6つあり、そのうち3つがコンテナです。
窓もなく、入口以外は暗い中、みんな一生懸命勉強しています。
マジャミンの父親は戦争で体が不自由なので、兄と姉が交代で羊を山に連れていきます。
羊はとても大切で、草をたくさん食べさせて大きくしてから町に売りに行きます。
ですから羊が一匹でもいなくなると、何日もかけて探さなくてはなりません。
今、アフガニスタンでは戦争中は建てられなかったモスクが少しづつ建ち始めました。
イスラムの人たちの願いは、働いたお金を地域に寄付してモスクを建てることです。
そうすれば、戦争に行った人たちが安心して故郷に帰ってくることができるからです。
男の子はエンジニアとか私を見てカメラマンになりたいと言います。
女の子はこの地域を離れず、先生になって、村の子どもたちに教えたいと言います。
マジャミンの夢も先生になることです。
まだまだテロの犠牲になる人がいる中、彼ら彼女たちは定められた運命を必死に生き、
生活も少しづつ良くなっています。
これまで、山の中でいろいろなものに接する機会がなかった子どもたちが、
学校へ行き、仲間を作って将来を語り合い、夢をはぐくむことができれば、と思います。
アフガニスタンは、顔も言葉も違いますが、カメラを通して見るこどもたちの表情から、
いつも大切なことを教えてもらっている気がします。