2008年3月 1日放送 尾木直樹さん(第1574回)
- 会場
- 千浜農村環境改善センター(掛川市)
- 講師
- 教育評論家 尾木直樹
講師紹介
1947年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、
教師として22年間子ども主役の教育を実践。
その後大学教員に転身し22年教壇に。現在は
法政大学名誉教授、臨床教育研究所「虹」所長。
第1574回「子どもたちの心は、今」
2006年の学生・生徒の自殺者数は886人と発表されました。また、その背後には10倍の未遂者がいるとも言われます。なぜ今、子どもたちがこのような事態に追い込まれているのか考えてみたいと思います。
先日、ユニセフからOECD加盟国を対象に行った『「孤独を感じる」と答えた15歳の割合』の調査結果が発表されました。これは、うつ的な傾向があるかどうかの一つの指標ですが、多くの国が5〜10%の割合なのに対し、日本は29.8%という突出した結果だったのです。国内でも同様の調査が行われ、この結果を裏付けるように、中学校1年生で10.7%が抑うつ傾向にあると診断されました。私たちの想像を超えて、子どもたちの心は病んでしまっているのです。
この原因の一つには、学力プレッシャーがあると思います。塾通いに追われ、競争が第一の勉強では子どもたちの心を追い詰めるばかりです。そして、もう一つが友達関係でのストレス、「いじめ」です。2006年度のいじめの件数は12万5千件で前年度の6倍と言われています。これだけ急増したのは、文部科学省がいじめの定義を変更し、熱心に子どもたちに聞き取り調査をした結果で、決して恥ずべきものではないと思います。
私たち大人は子どもたちのこの現実に地域や学校など一体となって考えていく必要があるのではないでしょうか。