2008年12月20日放送 アグネス・チャンさん(第1615回)
- 会場
- 御殿場市民交流センターふじざくら(御殿場市)
- 講師
- 歌手・教育学博士 アグネス・チャン
講師紹介
香港生まれ。1972年「ひなげしの花」で日本デビュー。
上智大学、トロント大学を経て米国スタンフォード大学へ。
現在、歌手活動のほか、ユニセフアジア親善大使、
日本対がん協会「ほほえみ大使」などとして活躍。
番組で紹介した本
「東京タワーがピンクに染まった日」
著:アグネス・チャン
発行:現代人文社(税込1,680円)
第1615回「アグネスが見た四川大地震」
2008年5月中国四川省を大地震が襲いました。
マグニチュード8と阪神大震災よりも破壊力が大きく、7万人が死亡、未だに1万8000人が行方不明となっています。
私はユニセフ協会の現地視察で地震発生から1ヵ月後に四川省入りし、首都の成都から都江堰に入りました。ここは被害が大きく建物の98%が倒壊し、ビルがぶら下がったままになっていたり、家具や私物がそこら中に散乱していました。
その後、擂鼓鎮という街で一人の少女に出会いました。彼女は地震で母親を亡くし父親と2人残されてしまったというのです。父親は途方に暮れ、少女は心を閉ざして一枚の手紙を握り締めていました。それは天国の母親に向けた手紙でした。そこにはお母さんがいつも歌ってくれた歌をまた聞きたいということが書かれていたのですが、驚いたことにその歌というのは私が22年前北京での凱旋ライブで歌ったものでした。私は少女を思い切り抱きしめながら一緒に歌いました。
この他にも家族全員を失った男の子や、地震によって障害を負ってしまったために里親がみつからない子ども達など、避難テントには様々な子ども達がいました。テントにいる間はお互い励ましあっているので覇気が感じられますが、復興に向けて動き出すこれからが大変です。
中国はオリンピック開催などで発展したとは言え、地震の規模が大きすぎて復興にはかなりの時間を要すると思います。隣国である日本のみなさんの協力を得ながら災害に強い子ども達を育てていきたいと思います。