2009年1月10日放送 新井満さん(第1617回)
- 会場
- 榛原文化センター(牧之原市)
- 講師
- 作家 新井満
講師紹介
1946年新潟市生まれ。
上智大学法学部卒業後、電通入社。
在職中の88年に小説「尋ね人の時間」で芥川賞受賞。
また訳・作曲をした「千の風になって」は
2007年に日本レコード大賞作曲賞受賞。
番組で紹介した本
「青春とは」
著:新井満
発行:講談社(税込1,050円)
第1617回「青春とは」
今日は皆さんに素敵な詩をご紹介します。
苦しいときや悲しいときにこの詩の一節を口ずさむと元気がでる、そんな詩です。それは「Youth(青春)」というものです。
アメリカの実業家サムエル・ウルマン原作で、今から60年ほど前の日本に勇気と希望を与えてくれました。
この詩が一躍有名になった意外なきっかけというのはダグラス・マッカーサーでした。
彼は日本に駐在している際、部屋の壁にこの詩を掲げ朝晩朗読していたそうです。そのことが雑誌に掲載され話題となり、これを見た日本人・岡田義夫氏が始めて翻訳に挑戦しました。「青春」というその詩の有名な一節をご紹介します。「人は希望ある限り若く、失望とともに老い朽ちる」。岡田氏の訳は素晴らしいものだと思いますが、いささか60年も経過すると言い回しが古かったり、難解な語句も含まれます。
そこで私はより幅広い世代にこの詩を伝えようと、岡田氏の翻訳から60年経った今、新たに翻訳し直してみました。原作詩のコンセプトは絶対厳守し、できる限りわかりやすく美しい日本語で訳そうと努力しました。さらに自分なりにウルマンの伝えようとする青春をこのように定義してみました。「青春とは一つに夢があること、次にその実現のため情熱を燃やしていること」つまり、夢×情熱=青春という計算式が成り立ちます。
このようなことを念頭に翻訳した「青春」という詩を、今日は実際に朗読してみたいと思います。