2010年3月 6日放送 増田明美さん(第1677回)
- 会場
- 浜松市立高台中学校
- 講師
- スポーツジャーナリスト 増田明美
講師紹介
1964年千葉県生まれ。
高校在学中に長距離種目で日本記録樹立。
84年ロス五輪出場。
現役時代は、日本最高記録12回、
世界最高記録2回更新。
現在は、大阪芸術大学教授。
番組で紹介した本
「カゼヲキル」(全三巻)
著:増田明美
発行:講談社(税込1365円)
第1677回「好きになる 好きにさせる」
昨年ベルリンで行われた世界陸上で、
尾崎好美選手が女子マラソンで銀メダルを獲得しました。
指導したのは山下佐知子さんです。
ご自身も世界陸上のマラソンで、銀メダルを獲りましたね。
女子マラソンは、なぜ強くなったのかと、最近よく聞かれます。
一つは、選手の気持ちの強さです。
取材をしていても芯の強い選手がたくさんいます。
そして、共通しているのが、競技生活を楽しもうという姿勢です。
これは指導者の影響が大きいと思います。
私は高校時代、天才ランナーと言われましたが、楽しんで走った事は一度もありません。
むしろ、苦しくて辛かったです。
私の時代は、人が成長するには苦しい経験をした方が伸びると言われ、
それを信じて走っていました。でも、長くは続きませんでした。
神戸に須磨学園という陸上の強い高校があります。
陸上部の長谷川監督の言った言葉が印象に残っています。
「高校時代に、陸上が嫌いにならないよう、気を配って指導している。
高校時代に日本一にならなくてもいい。
大学、社会人で花開けば最高」と話していました。
高校時代は心や体が伸びる時期です。
監督は、バランスを考えて指導しているのです。
実際、大学、社会人で活躍している須磨学園の卒業生は多いです。
マラソンの有森裕子選手や高橋尚子選手を育てた小出監督も
厳しい練習を感じさせない、雰囲気づくりが上手ですね。
常に選手に「いいね、最高」と声をかけてほめています。
スポーツだけでなく、何かを学ぶということは、
好きになる事、好きにさせる事が大切だと思います。
好きであったら、辛い事も楽しめるのではないでしょうか。