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過去の放送

2016年3月27日放送 齋藤孝さん(第1978回)

会場 原地区センター(沼津市)
講師 明治大学文学部教授 齋藤孝
講師紹介

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、
同大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。
専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。
「声に出して読みたい日本語」ほか、著書多数。

第1978回「子育ては諭吉に学べ!」

福沢諭吉の学問のすすめは有名ですが、

その内容は、人は学ぶことによって人になるのだ。

人の貴賤は学ぶか学ばざるかによるのだ。

そして、独立した人格が出来て初めて

独立した国家が作られるというのだというメッセージです。

諭吉は自分の子どもに対してもちゃんとした考えを持っていました。

はっきりとものを言う人でしたが、その雰囲気が家庭内にもあって、

明治の初めだというのに子育ての基本は家庭の団欒だと言っていました。

諭吉は家庭と言うものは西洋のスイートホームのように、

子どもがゆったりとリラックスできる場所でありたいと考えていました。

江戸時代にはそんなことはありませんでした。

一家には主がいて、すべてを取り仕切っていました。

それはそれでいいのですが、

これからは団らんの中でのびのびと育つのがよいと言ったのです。

覚えていただきたい諭吉の言葉があります。

「先ず獣身を成して後に人心を養え」

これは、人は何と言っても動物なのだから、

まずは獣のような身体をしっかりと作って

そのあとに人としての心を養っていきましょうという意味です。

ですから、小さいころは子どもは動物なのだと覚悟して、

7、8歳までは遊ばせ、エネルギーがついたところで

勉強をさせろと言いうことです。

私の育った昭和の時代は塾などあまりなく、

いつも夕方まで河原で遊んだものです。野球をしたり、

サッカーをしたり石ころを集めたり、とにかく暇で、

日が暮れてもまだ遊んでいた記憶があります。

その頃に感じていたことは、

体がくたくたになるまで遊ぶと気分がいいということ。

家に帰ってお風呂に入ってご飯を食べるともうバタンと倒れてしまう。

今思うと、後にいろいろ勉強をしましたが、

結局勉強も身体のエネルギーでするのだということを感じました。

早くからの知育も悪くないと思いますし、

胎教という考えもあります。

それもコミュニケーションの範囲ならばいいのではと思います。

心配なのは身体を無視して頭ばかりということになると、

バランスが悪くなるのではないかということです。

20年来、大学で20歳前後の学生を定点観測のように見てきて思うことは、

皆素直でまじめになってきているということ。

でも爆発的なエネルギーが少し欠けてきたような気がするのです。

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