2016年4月24日放送 落合恵子さん(第1982回)
会場 | 門池小学校(沼津市) |
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講師 | 作家・クレヨンハウス主宰 落合恵子 |
講師紹介 | 1945年栃木県生まれ。執筆活動と並行して、 |
番組で紹介した本 | おとなの始末 著者:落合恵子(集英社新書) ルピナスさん ―小さなおばあさんのお話― 著者:バーバラ・クーニー 訳:掛川恭子(ほるぷ出版) |
会場 | 門池小学校(沼津市) |
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講師 | 作家・クレヨンハウス主宰 落合恵子 |
講師紹介 | 1945年栃木県生まれ。執筆活動と並行して、 |
番組で紹介した本 | おとなの始末 著者:落合恵子(集英社新書) ルピナスさん ―小さなおばあさんのお話― 著者:バーバラ・クーニー 訳:掛川恭子(ほるぷ出版) |
クレヨンハウスが40周年を迎え、私自身も70歳になりました。
(※2015.11月収録時点での年齢です)
「私から年齢を奪わないでください。
この年齢は私が働いて働いてようやく手にしたものです。」
アメリカの作家メイ・サートンさんの言葉です。
素敵ですね。私も、そんな人生を送りたいと思っています。
籐のバスケットに替えのパンツを入れ、遊びに来てくれていた小さな男の子。
その彼が40年経って、
同じように小さな男の子と女の子を連れてクレヨンハウスに来てくれ、
「昔パパがね...」などと子どもたちと話しているのを聞くのは、
私が書店をやっていてよかったなと思える瞬間です。
「月日は投げられた石のごとく」と書いた方がいますが、
本当にスッと月日は流れて行きます。
今回の本は私自身に少し人生の答えを出す助走の時だと思って書きました。
穏やかに、豊かに生きてゆくためには、
何を捨てて何を大事にすればいいのか、
人生の荷物を減らすにはどうしたらいいのか、
全部減らすのではなく、自分にとって大事なものをもう一度握り握りしめる。
そんなテーマで書き始めたとき、心に浮かんだある人物がいました。
絵本作家のバーバラ・クーニーさんです。
ここにある(紹介する)のは彼女の絵本「ルピナスさん」です。
ルピナスさんの本当の名前はアリス。
小さいころ、祖父の膝に乗って夢を語るアリス。
「色んな国を旅したい」というアリスに祖父は言います
「いいことだ。でももう1つ、世の中を美しくすることを何かやって欲しい」と。
大人になったアリスは、いろいろな国に行きいろいろな人と出会って、
いろいろな仕事をしますが、
最後に終の棲家として海辺の小高い丘の上に小さな家を建てます。
そこで祖父との約束、
「世の中を美しくする」ために、ルピナスの花の種を町中に蒔きます。
そしてやがて町中がルピナスの花でいっぱいになり、
誰からも「ルピナスさん」と呼ばれるようになりました。
バーバラ・クーニーさんが
なぜこの絵本の表紙に子どもを描いていないのか、
なぜ年老いた女性を描いたのか、
聞いてみたかったのですが彼女はもういません。
自分が出来ることは何かを考えた末に出したこと、
それがルピナスの種を蒔くことであり、
彼女にとっての「大人の始末」だったのかもしれません。