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過去の放送

2017年1月15日放送 野口健さん(第2016回)

会場 静岡労政会館(静岡市)
講師 登山家 野口健
講師紹介

1973年アメリカ生まれ。1999年エベレスト登頂に成功し、
7大陸最高峰世界最年少登頂記録を25歳で樹立。
近年は、ヒマラヤや富士山の清掃活動に加え、
被災地支援などの社会貢献活動を行っている。

第2016回「熊本 テント村プロジェクト」

2016年の熊本地震の時、僕は東京にいましたが、

ネパール地震の支援から日本に帰って来たばかりでとても疲れていたので、

事務所のスタッフたちに「俺、熊本に行かなくていいよね」などと、

熊本に行かない言い訳をしていました。

ところが地震から3日目にヒマラヤのシェルパの知人から電話があり、

ネパール地震で日本人に助けてもらったから恩返しをしたいと言い、

やがて5万円ほどのお金が振り込まれてきました。

それはネパールでは大金ですし、

まだネパールの震災から1年もたっていないのです。

僕はガーンと頭を殴られたようなショックを受けました。

そして、自分が立ち上げネパール地震の支援基金に

沢山の日本人が協力してくれたのに自分が逃げようとしていたことを恥ずかしく思いました。

テレビなどの情報で、益城町ではメインの避難所であるアリーナの天井が落ちてしまい、

車中泊の人たちが多いこと知りました。

そして思い浮かんだのがテントでした。

ネパール地震の時の経験で人間はゆっくりと足を延ばして寝られないと

精神的に持たないと言うことを知っていましたから、

テントを持ち込もうと考えました。

ただ、熊本の人たちはシェルパのようにテントに慣れてはいないので、

そのままテントを渡すのではなく、張ることも手伝って、

僕がテント村を運営することにしました。

幸い、僕が環境大使を務める岡山県総社市の市長が、

応援の人間を派遣して下さり、細かいサポートしてくれることになりました。

総社市の人たちが選んだ場所はアリーナの隣のグラウンドでした。

給水所も近くにあり、土地が平らなことがテントを張るのにいい環境でした。

170張のテントをトラックで運び入れ、グラウンドの外周をぐるりと囲むように、

入口を内側に向けて張りました。

そうすることで、外部から人が入ってきたらすぐにわかるようにしました。

僕は「山屋(やまや)」ですから、山屋の発想で、

エベレストで経験したことを考えました。

5300メートルのベースキャンプから1カ月半をかけて登っていくのは

極限に近い作業です。食糧もギリギリ、テントも最少のものです。

そんな中で大事なのはいかに体を休めるかということ。

僕は最終的にメンタルをやられてしまわないように、

エベレストと同じ大きさのテントを使いました。

僕の持って行った大型テントは人が中で立って動けるので圧迫感がなく、

人が立って動けるスペースがあります。

やがて子どもたちがグラウンドで走り回ったり、ドッジボールをするようになり、

大人たちも一緒に遊んだりするようになりました。

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