2018年9月30日放送 菊地幸夫さん(第2098回)
会場 | 第一地区センター(沼津市) |
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講師 | 弁護士 菊地幸夫 |
講師紹介 | 中央大学法学部卒業。元司法研修所刑事弁護教官。 |
会場 | 第一地区センター(沼津市) |
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講師 | 弁護士 菊地幸夫 |
講師紹介 | 中央大学法学部卒業。元司法研修所刑事弁護教官。 |
私が住んでいる自治体では定期的に市民無料法律相談が開催されます。
私も相談弁護士として参加しているのですが、
年間で扱う相談件数はかなりの数で、内容も様々です。
一番多い相談は「相続」「遺言」の問題で、全体の三割以上を占めています。
相談者は家業、事業をやっている場合が多く、
その方々にとって相続の問題というのはとても難しい問題なのです。
日本の企業は大企業よりも中小企業の方が圧倒的に数が多いです。
ですから中小企業が元気かどうかという事が日本の経済状況のバロメーターにもなります。
ところが、最近、中小企業の数がだんだん減ってきています。
吸収合併など理由は様々ですが、廃業してしまう場合も少なく無いようです。
ではなぜ廃業に追い込まれるのでしょうか?
その原因の一つに相続の問題があるのではないかと言われています。
例えば私が家業をやっているとします。
自宅兼会社の作業場として長男と一緒に住んでいるとしましょう。
あと二男、三男がいて、私と別居しながらサラリーマンをやっています。
妻は他界しているとします。この状況を想像して話を聞いてください。
「私も年齢的に仕事がきつくなってきたのでそろそろ長男に会社をバトンタッチしようか。」
という時がきたとします。
長男が安心して家業を引き継ぐためには財産も引き継がなければなりません。
今は土地、建物は私の名義です。会社の中の備品も同じです。
これら会社を経営するためのワンセットを全て長男に引き継ぐとします。
仮に私名義の土地、建物、備品の合計金額が五千万円だとしましょう。
その他預貯金など金融資産が一千万円。合計六千万円あったとします。
長男には土地、建物、備品の五千万円分を相続してもらうとします。
残りの金融資産一千万円を半分の五百万円ずつ二男と三男に相続した場合
、二男、三男から「長男の十分の一しかもらってない!」と言われ揉めてしまう事があるのです。
この様な相続の揉め事を解決するために会社を売って廃業を選択してしまうというのが、
少なからず中小企業が減っている要因の一つであると思います。
この他にも相続に関してもっと複雑な事例も出る事があります。
上手に会社をバトンタッチするにはどうすればいいか?
その事についてお話したいと思います。