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過去の放送

2019年5月12日放送 内藤いづみさん(第2129回)

会場 菊川文化会館アエル(菊川市)
講師 在宅ホスピス医 内藤いづみ
講師紹介

1956年山梨県生まれ。福島県立医大卒業。
1995年甲府市にふじ内科クリニックを開業。
命に寄り添う在宅ホスピスケアを30年近く
実践し、自宅での看取りを支えている。

第2129回「看取るあなた達への応援歌」

私は30年以上前に甲府に小さな診療所を構えました。

当時は、人生の最後を病院で迎える人が多く、

家で看取る事はあまり馴染みがありませんでした。

しかし今では「看取り」という言葉が非常に重要になってきています。

国の考え方も、

「病院では病気は治すけれど、命を終える最後はなるべく家の近くに帰って下さい。」

というように方針が変わってきました。

皆さんが、「昔はそうじゃなかったのに。」と思われていても、

世の中の仕組みは毎年どんどん変わっています。

どのようなシステムになってもやはり人と人との関わりは大事にしておかなければなりません。

そして情報をしっかり理解したうえで、

自分の最後はどのように迎えるか、元気なうちに考えておく事が大切です。

私事ですが、最近母が亡くなりました。

大変安らかに旅立って行ったので良かったなと思う反面、

後悔の無い看取りと見送った寂しさは別のものなのだと感じました。

遺族になってよくわかりました。

「大事な人は逝っちゃった、その看取りに後悔はない。一生懸命看た、でも寂しい。」

心の中にあるぽっかりした穴、それは本当に体験した人でないとわかりません。

一生懸命、母の面倒を見てくれていた義妹が、母が亡くなった時、

「お義姉さん、まだお義母さんが私の肩のあたりにいるような感じがする。

そして私たちに『しっかりしなさい!』と言ってくれているような気がする。」と言いました。

私がそんな事あるわけないじゃないと言えば義妹がかわいそうだから、

「一生懸命面倒みてくれたからだね。」と言いました。

その後、私は家に帰ってお風呂に入りました。

お風呂を出て、湯気の立った鏡の中に映る自分を見てびっくりしました。

何とそこに母が映っていたのです。これはオカルトの話ではありません。

実は亡くなった母にそっくりな私が映っていたのです。

若い時の母の写真を遺影に使い、それを見てきたばかりですから。

その時、私は

「母は亡くなってもうこの世にいないけれど、私達の心の中に生きている。」

と思いました。

遺族は、皆このような気持ちになるのではないでしょうか。

そして、遺族の気持ちはいつか癒されるものだと信じて今も看取りの応援をしています。

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