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過去の放送

2020年8月30日放送 汐見稔幸さん(第2194回)

会場 テレビ静岡(静岡市)
講師 東京大学名誉教授 汐見稔幸
講師紹介

1947年大阪府生まれ。日本保育学会会長や
白梅学園大学学長など歴任。ぐうたら村村長。
専門は教育人間学、保育学、育児学。
現代の父親、母親の育児の応援団長をめざしている。

第2194回「人の「育ち」と豊かな遊び」

コンピューターの進歩により、

これまで経験として語られてきたことがいろいろ調べられるようになりました。

そして子育てにも大切な「原則」がいくつか見つかっています。


まずひとつは、子どもが自分で自分を育てる力です。

考えてみればあたりまえですが、

子どもは、大人に「ああしなさい、こうしなさい」と言われて育つわけではありません。

子どもは「できるようになりたい」と自分で挑んで育ちます。

赤ちゃんは、何も教えなくても歩けるようになります。

言葉だってそうです。子どもは自分で身につけていきます。

このため「自らを育てる気持ち」をうまく作ってあげることが大切です。

それをやらずに、子どもがやりたくないことをやらせても、

すぐに忘れてしまうし、うまく育たないのです。

子どもが自発的にいろいろ挑戦できるような環境を作ってあげることが、

いまの子育てでは一番大切なことです。


子育ての原則。続いては、「ひとつのことばかりやらせないこと」です。

例えば、子どもをサッカー選手にしようとサッカーだけやらせてもプロの選手にはなれません。

ひとつの型にはまったことだけしかできなくなってしまうからです。

アメリカのプロスポーツ養成教育では、最低3種目のスポーツを経験させます。

小学生くらいまでは、一般の家庭で実際に何をやればいいかというと、

それは「豊かな遊び」です。遊びの中には、さまざまな要素があります。

木登りに、かけっこ。それぞれいろいろな筋肉を使います。

それがサッカーにも通じる柔軟性を養います。

つまり、この原則は言い換えれば「できるだけいろいろな遊びをすること」。

子どもが興味を持ったことを好きにさせてあげること、

これがその後に活きてくることを覚えておいてください。

いまは、遊びの環境がずいぶん乏しくなってきました。

昔は、道や神社の境内、川原などは大事な遊び場所でした。

自然の中で豊かに遊ぶと知的好奇心が湧いてきます。

「もっと知りたい」、「もっと集めたい」。

いまの子どもたちの遊びというのは、よほど工夫してあげないと難しい状況になっています。

いま保育の現場では、遊びの大切さが世界中で再認識されています。

保育の中に「豊かな遊び」を取り入れることが見直されています。

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