2020年12月20日放送 陰山英男さん(第2210回)
会場 | 大富公民館(焼津市) |
---|---|
講師 | 教育クリエイター 陰山英男 |
講師紹介 | 1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒業後、 |
会場 | 大富公民館(焼津市) |
---|---|
講師 | 教育クリエイター 陰山英男 |
講師紹介 | 1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒業後、 |
勉強が苦手な子は、実は勉強ができないのではありません。
勉強をするときに集中しきれていないのです。
そして「できない自分」を見せるのが嫌で勉強をやろうとしないという悪循環に陥ってしまいます。
では、勉強が苦手という意識はどこから来て、そしてそれを克服する手立てはあるのでしょうか?
キーワードは「小学校1年生の学習」です。
1年生の基礎的な勉強、例えば足し算の繰り上がり、繰り下がりができると
掛け算の九九が覚えやすくなります。
すると「勉強は結構簡単」、「自分はできる」という自己肯定感につながります。
すると苦手意識はなくなってきます。
そして保護者の皆さんにお願いしたいのが笑顔です。
日本のお母さんたちは本当に優秀で、世界でも有数だと私は思っています。
献身的によく努力されています。しかしその余りに肩に力が入ってしまって、
子どもたちが思い通りにならないとつい顔をしかめてしまいます。
実はこれが子どもたちの「集中」にマイナスに働いています。
最近のアスリートがよく言う「オリンピックを楽しみたい!」という言葉。
これは意図的にリラックスして笑顔をつくり出しています。
何事も楽しいと思っている時が最も集中できるのです。
さらに基礎を身につけることで応用力が伸びてきます。
応用力が伸びると勉強が好きになります。好きになるからまた伸びる、まさに相乗効果です。
野球に置き換えてみましょう。プロのホームランバッターでも素振りは必ずします。
素振りは小学生も繰り返す基礎中の基礎です。
この基礎が盤石になった時にホームランが打てるのです。
逆に言えば普段素振りもせずにバッターボックスで大振りをした時に
まぐれ当たりのホームランは出るかもしれません。
しかしそれ以上に増えてしまうのが「空振り」です。
最近は大脳生理学の研究が進み、読み、書き、計算に使う脳や神経は
人の情緒をつかさどる部分だとわかってきました。
つまり勉強の基礎を徹底すると子どもたちに心の落ち着きが出てきます。
子どもたちの苦手意識をなくすために基礎を繰り返し、
徹底する取り組みを家庭や地域で実践していくことが
すばらしい未来につながっていくのではないかと思います。