2021年1月24日放送 中野信子さん(第2214回)
会場 | テレビ静岡(静岡市) |
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講師 | 脳科学者 中野信子 |
講師紹介 | 1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士。 |
番組で紹介した本 | 「空気を読む脳」著:中野信子(講談社) |
会場 | テレビ静岡(静岡市) |
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講師 | 脳科学者 中野信子 |
講師紹介 | 1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士。 |
番組で紹介した本 | 「空気を読む脳」著:中野信子(講談社) |
運のいい人、悪い人、自分には運がないと困っている人もいるかもしれません。
イギリスの大学がある実験を行いました。
およそ千人の被験者にくじを買ってもらいます。
そして自分は運がいいと思っているか、悪いと思っているか答えてもらい、
そのアンケートをもとに分析します。
結果は運の良し悪しに関係なく、どちらも同じようにくじが当たっていました。
運は誰にでも平等です。
しかし周りを見ると「いつも貧乏くじを引く人」、
「なぜかついている人」がいるような気がします。
そこでさらに実験を続けて性格の傾向を調べました。
すると運がいいと思っている人は、
「外向性」と「開放性」という2つの傾向が高いことがわかりました。
自分の内面に目が向きやすい人を「内向的」といいますが
その逆で他人の動きや周りのことをよく見ている人が外向性の高い人です。
また未知のこと、新しい物事が起きた時に動揺することなく、
むしろ楽しいと思えるのが開放性の高い人です。
興味深い実験結果があります。
ある日の新聞に写真が何枚使われているか10秒で答えて下さいとお願いします。
正確に数えて答えるのは難しい問題です。
自分は運がいいと思っている人の正解率は、他の人の3倍に上りました。
実はこの実験にはからくりがあって、新聞の表紙をめくると答えが書いてあるのです。
ただ、答えは文字で記されているため写真に気を取られていると見逃してしまいます。
別の行動実験でも同じような結果が出ていて
性格や行動、振る舞いが「運の良し悪し」に関係していることがわかってきました。
性格や行動は生まれつきのものと思われがちですが実は変えられるのです。
脳にはミラーニューロンという神経細胞があって
他の人の行動をあたかも自分がそうしたかのようにコピーすることができます。
友だちの口癖が移ったり、よく笑う人の隣にいると笑顔になったり。
それと同じように運のいい人と一緒にいると自分もそういう振る舞いをするようになります。
運は誰にでも平等です。雨がみなさんに平等に降っているようなものです。
その雨を小さいコップで受け止めるか、
それとも庭に大きな池を掘って溜めようとするか、そこに違いがあるのかもしれません。
自分のコップが小さかったとしても心の中に池を掘るようなイメージで
自分の振る舞いをコントロールしていけば運の良し悪しは変えていけるのです。