2021年2月 7日放送 中野信子さん(第2216回)
会場 | テレビ静岡(静岡市) |
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講師 | 脳科学者 中野信子 |
講師紹介 | 1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士。 |
番組で紹介した本 | 『「超」勉強力』著:中野信子・山口真由(プレジデント社) |
会場 | テレビ静岡(静岡市) |
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講師 | 脳科学者 中野信子 |
講師紹介 | 1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士。 |
番組で紹介した本 | 『「超」勉強力』著:中野信子・山口真由(プレジデント社) |
勉強に努力しているお子さんを見るとお母さんは安心すると思います。
しかし悩ましいことに、努力をすれば成績が上がるかというと、そうとは限らないこともあります。
「努力をする」ことは誰にでも備わった能力のように見えますが
実は「努力ができる」才能は遺伝的に決まっています。
その性質を測る実験があります。
2つの課題を用意し、ひとつは利き手の指で7秒間に30回ボタンを押す簡単な課題。
もうひとつは利き手でない方の小指で21秒間に100回ボタンを押す難しい課題です。
実験には報酬があって簡単な課題は1ドル、
難しい課題は1ドルから4.3ドルの間の金額が設定されています。
ここで大事なのは報酬が必ず貰えるわけではなく確実性が低いことです。
この時、どちらを選ぶかで努力ができる人か、できない人か峻別し、脳の状態を調べていきます。
難しい課題を選んだ人は、脳の「線条体」という部分の反応が高いことがわかりました。
「線条体」はおいしいものを食べた時、課題を達成してうれしい時などに反応します。
努力できる人は「努力をしたこと」そのものに喜びを感じる脳の持ち主です。
一方で努力が苦手な人は、脳の「島皮質」という部分に反応が見られました。
「島皮質」は損得を勘定します。報酬があれば努力するという性質です。
この「線条体」と「島皮質」のバランスで努力が得意な人と苦手な人が分かれます。
そしてこれは生まれつき決まっています。
ですからお子さんは努力が苦手なタイプと感じた場合は
「一生懸命やりなさい」と圧力をかけるよりも
「やるべきことを効率よくやりなさい」と言う方が効果的です。
何事も長い目で見てあげて欲しいと思います。
子どもの褒め方についても実験が行われています。
テストの結果で点数を褒めるグループと、
「前のテストより〇〇ができるようになったね。」と工夫を褒めてあげるグループを作ります。
すると点数を褒められた子どもは次から確実に点数が取れる簡単な課題を選ぶようになります。
工夫を褒められた子どもは自分がやったことのない難しい課題にチャレンジするようになります。
ちょっとした褒め方の違いで子どものやる気は変わります。
是非、気にかけてあげて欲しいと思います。