2022年1月23日放送 住田裕子さん(第2264回)
会場 | 沼津市民文化センター(沼津市) |
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講師 | 弁護士 住田裕子 |
講師紹介 | 兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、検事に。 |
番組で紹介した本 | 「シニア六法」監修・著:住田裕子(KADOKAWA) |
会場 | 沼津市民文化センター(沼津市) |
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講師 | 弁護士 住田裕子 |
講師紹介 | 兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、検事に。 |
番組で紹介した本 | 「シニア六法」監修・著:住田裕子(KADOKAWA) |
人生100年時代といわれるようになりました。
元気でいられる間はできるだけ人生を楽しくしたい。
そんなことを考えていた時、押し寄せてきたのが新型コロナウイルスでした。
新しい生活様式がここ2年くらい続いています。
「巣ごもり」、「閉じこもり」...。
人と会う機会が極端に減ってしまいました。
特に若い人たち、交流の場を持ちたい人たちにはショックだったと思います。
でもこれは若い人だけではありません。
高齢者にとっても厳しい面があります。
外に出て人に会うと脳が活性化すると言われます。
コロナ禍でその機会が極端に減りました。
そして何より歩くこと、動くことが減ってしまい身体機能の低下が深刻です。
認知症対策でも必要なことは全身運動で血流を盛んにすることだそうです。
ですから、コロナ禍が一段落したら大切にして欲しいことは「きょうよう」です。
漢字で書くと「今日用」。
きょうはみなさん、番組収録で会場に足を運んでいただきました。
こうした「用事」をできるだけたくさん作ることが大切です。
もちろんきょうではなく明日でも大丈夫です。
用事をつくるためにいろいろな準備をする、それが「やりがい」につながります。
そして情報を集めることで脳が活性化します。
また誰かを誘うことで交流が深まります。
認知症は誰もがなり得る病です。
私の母も同居する夫の母も認知症になりました。
私自身も「いずれなるかもしれない」と母を看ていて思います。
でもできる限りその時期を遅くすることは可能です。
それは「人とのつながり」、そして三つの「きん」を大事にすることです。
ひとつ目は「金」、お金です。
ふたつ目は「筋」、活動するための筋肉。
そして三つ目は「近」、近くに行く場所、近くで会える人、ご近所付き合いです。
認知症が気になる人はあす、いま隣に座っている人に
「きのうは楽しかったね。講師は何という人だった?」
と聞いてみてください。
名前を思い出すだけでも認知症対策になりますが、
名前が思い出せなくても大丈夫です。
「きのう??」と、エピソードがひとつまるごと抜け落ちてしまうことが
認知症の前兆だといわれています。
だから朝ごはんで何を食べたか忘れてもいいのです。
朝ごはんを食べたこと自体を忘れていなければ...。
しかし認知症を患った人はその症状を認めたくないし、
周囲の人に悟られたくないのです。
そこへ電話が掛かってきます。
「母さん、オレだけどわかる?」。
思わず「わかるよ。」と取り繕ってしまうのです。
これは認知症の人が陥りやすいケース。
取り繕って『わかったふり』をしてしまうのです。
これが原因で詐欺事件の被害にあってしまいます。
私の母は「年を取ったんだからしようがないよ。これが老人力なんだから...」。
ある時から困難なことも笑い飛ばすようになりました。
閉じこもらない、取り繕わない、そして格好つけない...
家族や身近な人とあるがまま、
言いにくいことも隠さずに話ができる関係性をつくることが大切です。
年を取るとやることはたくさんあります。
「やりがい」がある方が人生楽しいと思います。
願いごとリスト(遺言)や財産リストも是非つくってください。
次の世代に負担をかけないためにも
「備えあれば、人生ずっと憂いなし」。
みなさんのこれからの人生が安らぎのある日々であることをお祈りいたします。