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2022年8月 7日放送 竹下和男さん(第2292回)

会場 テレビ静岡(静岡市)
講師 子どもが作る“弁当の日”提唱者 竹下和男
講師紹介

1949香川県生まれ。香川大学教育学部卒業。
香川県・滝宮小学校の校長在職中、2001年に
子どもひとりで作らせる"弁当の日"を始める。
実践校は全国2400校以上に広がっている。

第2292回「100年未来の家族へ」

子どもが作る"弁当の日"を始めて22年目になりました。最初に取り組んだ教え子たちは33~34歳になっています。いまでは結婚して子どもがいる教え子も少なくありません。教え子のいまの様子を見せてもらったことがあります。


彼女は2歳の息子を台所に立たせていました。玉子焼きを作って弟に食べさせてあげようとがんばっています。私にとってはとてもうれしい場面でした。この時一番感動したのは、息子が台所ですることに対して彼女がとても辛抱強いことでした。多少まごついても「早く!」とは言いません。その姿を見た時に弁当の日の経験が活かされていると感じました。


実は彼女の母親もその場にいて、20年以上前の思い出を話してくれました。当時小学5年生だった彼女は1回目の弁当の日の後、一念発起して2回目はちらし寿司を作ることにしました。朝は仕上げだけにするため、前日に下ごしらえを済ませて就寝。ところが朝起きたら既にちらし寿司が出来上がっていました。母親が仕上げてしまったそうです。親子で大げんかです。


彼女は「なぜあの時、親が作ってしまったのかわかるようになりました。いまの私は、ちらし寿司を完成させた母親を怒る気持ちにはなりません」と言いました。そして子どもを台所に立たせて見守る現在の心境を話してくれました。「この子を信じて任せた方がいいとわかっているからやらせています」と。自分が子どもだった頃の経験をいまの子育てに活かしてくれているのです。


彼女の息子は自分が父親になった時、わが子を台所に立たせてくれると思います。世の中が変わっていくためには時間が必要です。世代交代も必要です。世代が変わるなか想いをつないでいくことで、私たちのメッセージを100年先の未来へ届けることができるのです。『100年未来の家族へ』想いを綴った詩を紹介します。


料理したいというわが子を台所に立たせている
あなたは子どもの自立を促しています

いただきます ごちそうさま を言い続けている家族は
感謝の気持ちを忘れていません

家族そろっての食卓を 楽しみにしている家族と暮らしている
あなたは今 幸せです


子どもは周りの人を見て、まねをすることで成長します。例えば、2歳の女の子から見ると5歳のお姉ちゃんは「3年後のわたし」です。3年後の未来を具体的に見ることで「こんな風になりたい」という憧れを持つようになります。子どもたちが憧れるような姿を親が見せてあげること。親から子へ、そして孫へ。世代を超えて想いを伝えることができれば100年未来の家族へその想いは届きます。

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