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過去の放送

2022年8月28日放送 勝俣州和さん(第2295回)

会場 蒲原生涯学習交流館(静岡市)
講師 タレント 勝俣州和
講師紹介

1965年生まれ。静岡県御殿場市出身。
1988年、番組オーディションを経て芸能界デビュー。
アイドルグループCHA-CHAの一員としても活動。
現在はバラエティ、情報番組など多方面で活躍。

番組で紹介した本 「やさしくなるとうまくいく ノートに書きとめてきた教えと言葉」
著:勝俣州和(KADOKAWA)

第2295回「家族のやさしさ」

僕は7人きょうだいの長男です。両親と祖父母をあわせると11人家族で育ちました。年に7回子どもの誕生日があって、ホールケーキを買ってもらいました。子どもだけで食べていいと言われたけれど、7等分するのはとても難しくてできません。そこで子どもたちで考えました。まずホールケーキを4等分します。さらに半分にして8等分、7人で分けるとひとつ余ります。それは誕生日の子が食べるという勝俣家のルールです。

一番の楽しみはクリスマスでした。クリスマスが近づくと、おもちゃ屋さんの大きなチラシを囲んで子どもたちがそれぞれ欲しいものに丸をつけます。するとクリスマスの朝、枕元にプレゼントが届きました。

ある年のことです。クリスマス前にみんなでチラシを囲んでいると父が電話を取りました。受話器を置いた父は「サンタさんからの電話で今年は来られないそうだ...」と言いました。それを聞いて弟や妹たちは大泣きです。その年はプレゼントもクリスマスケーキもありませんでした。

クリスマスの何日かあと、父がミカンを30箱まとめて買ってきました。そしてミカンを10個ずつ袋に詰めるように言いました。家の前には国道が通っていて日曜は朝から渋滞します。子ども7人が一列に並んでミカンを売ることになりました。渋滞中の車に声をかけます。「静岡の甘いミカンいかがですか?一袋300円です」しかしなかなか売れません。しばらくすると小さい弟と妹の3人組が「お兄ちゃん、売れたよ!」と駆け寄って来ました。小さい子が声をかけた方が健気でかわいいので売れることがわかりました。

それからはお兄ちゃんと小さな妹、お姉ちゃんと弟、組み合わせを変えて売ることにしました。これが成功してミカンが売れ始めました。すると今度は妹が「お客さんが2袋買うから500円にならない?って言っているんだけど...」とやってきました。「そういう売り方もあるんだ」と気づきました。これでまたミカンが売れました。

夕方になって渋滞がなくなるとミカンは売れません。まだ20袋くらい残っていました。すると今度は近所の人たちが来てミカンを買ってくれました。そしてジュースを差し入れてくれたり、お団子を持ってきてくれたりしました。残っていたミカンも全部売れ、家に入って報告すると父は子どもたちみんなをほめてくれました。そしてその日は豪華な夕飯でした。

それから何日か経った12月30日、朝起きたら枕元にプレゼントがありました。クリスマスの前にチラシに丸をつけたおもちゃです。12月30日にサンタクロースが来たのは勝俣家だけだと思います。

大家族で良かったことは、うれしいことがあるとみんなが喜んでくれて、うれしさがどんどん膨らみます。逆に悲しいことがあるとみんなが慰めてくれて、悲しみは徐々に薄れていきます。家族を作って行くのは思い出です。思い出の数が多いほど家族の絆は強くなっていくのだと思います。そしてやさしくなるとうまくいくのです。

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