2009年12月19日放送 野口健さん(第1667回)
会場 | 磐田市立磐田中部小学校 |
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講師 | 登山家 野口健 |
講師紹介 | 1973年アメリカ生まれ。1999年エベレスト登頂に成功し、 |
会場 | 磐田市立磐田中部小学校 |
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講師 | 登山家 野口健 |
講師紹介 | 1973年アメリカ生まれ。1999年エベレスト登頂に成功し、 |
温暖化と聞いても
日本では身の危険を感じる問題とはなかなか感じません。
しかし、ヒマラヤでは切実な問題なのです。
ヒマラヤに登頂する時は雪の少ない乾季に行きます。
初めて行った1992年に見かけることがなかったシャクナゲを、
1998年頃から道端で見かけるようになりました。
咲く時期が早くなっているのです。
地元のシェルパの人達は、ベースキャンプに行く途中にこの花を見ると人が死ぬ、
神様が怒っていると言っていました。
今になって考えてみると温度が高くなって雪崩が起きやすくなり、
遭難者が出るということなのでしょう。
氷河も溶け始めています。
1950年代には小さな水溜りだったネパールの氷河湖が
今では東京ドーム32個分の巨大な湖になっています。
また氷河が溶けて流れ込むガンジス川河口のバングラデシュでも
侵食被害が深刻になっています。
シンポジウムなどで、温暖化で大変だと言っていても言葉だけの話で、
今まさに人が死んでいるという危機感は感じられません。
私も2007年に行われたサミットでヒマラヤの氷河融解で起きる水害について訴えました。
その時はマスコミにも大きく取り上げてくれましたが、サミットが終わると関心は冷めて行きました。
私が続けている富士山の清掃活動は、始めた時の参加者は100人でした。
今では6800人に増え、五合目から上はゴミがなくなりました。
地味な活動ですが10年続きました。コツコツが集まると大きいのです。
冒険と環境問題は似ていると思います。諦めたら終わりです。
現場を見ると背負ってしまうものがあります。
自分でどう周囲に訴えて行くか、諦めずに考えて行きたいと思います。