2013年1月26日放送 藤原和博さん(第1822回)
会場 | 広見小学校(富士市) |
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講師 | 教育改革実践家 藤原和博 |
講師紹介 | 1955年生まれ。 |
会場 | 広見小学校(富士市) |
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講師 | 教育改革実践家 藤原和博 |
講師紹介 | 1955年生まれ。 |
正義とか公平というものは、時代が変わりその意味も変わってきています。
20世紀の「高度成長時代」が終わり、21世紀は「成熟社会」になったといえます。
1997年には大手の企業倒産が相次ぎ、会社が人の一生を支えていく時代は終わったといえます。
私たちはそれに自分を合わせていく必要があります。
20世紀の「みんなが一緒の社会」では、いつも同じ幸福感を持ち、
父親や先生の言うことをよく聞き、いい学校に入り、いい会社に就職して、
60歳になれば退職金をもらうというように、「正解」としての幸福論がありましたが、
今は違い、自分一人一人の幸福感、人生観を持つことが必要です。
戦後の教育は標準的なものを求め、ものを正確に早く動かすこと、
すなわち「情報処理力」が優先されました。
しかし今は、試験の問題でも4つの答えの中にひとつ正解がありそれを選び出せばいいという、
いわゆる4択ではなく、4つの中には正解が見つからない、
自分の答えはこうだと言える人間が求められているのです。
これを「情報編集力」といいます。
3・11から1ヶ月くらい経ったころ、東京からロールケーキを700個被災地に運んだ若者がいました。
ところがその避難所には800人の避難民がいて受け取りを拒否されたといいます。
後で不平不満を言われたら困るという、事なかれ主義です。
でも少しよく考えれば、甘いものが好きでない人やダイエット中の人もいるかもしれない、
あるいは全部を半分に切って1400個にしてしまうという手もあります。
そのほかにもいろいろ方法があるかと思いますが、
ネットである人が「大きなごみ袋に入れて粉に戻せばいい」というアイデアを出していたのには感動しました。
800分の700だったからこうしたアイデアが出たといえます。
このように考えると、公平とはみんな一緒の平等感でなく、それぞれの納得感ということになります。
昔、ベースがなくても公園の木をそれに見立て、子ども同士、野球をしたものです。
何かが足りなければ代わりのものをそれに見立てて遊ぶ、これも「情報編集力」なのです。