2013年9月 7日放送 湯川れい子さん(第1854回)
会場 | 小山町総合文化会館 |
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講師 | 音楽評論家、作詞家 湯川れい子 |
講師紹介 | 東京都生まれ。 |
番組で紹介した本 | 番組で紹介した本 |
会場 | 小山町総合文化会館 |
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講師 | 音楽評論家、作詞家 湯川れい子 |
講師紹介 | 東京都生まれ。 |
番組で紹介した本 | 番組で紹介した本 |
世界中、どこに行っても音楽の無いところはありません。
音楽は楽しむというだけでなく、大きな力を持っています。
私は、中学、高校の頃はいつも熱を出しては学校を休んでばかりいました。
多感な時代、詩が大好きで寝ながら本を開き、ハイネやリルケを読んでいましたが、
夢中になりすぎてまた熱を出し、母がそれではいけないと、
枕元にラジオを置いてくれました。
ラジオでは当時、浪曲などが主に流れてきましたが、
ある時、米軍の放送から甘いにおいのするジャズが聞こえてきて、
とても気分が良くなったのを覚えています。
それが私と音楽との初めての出会いだったような気がします。
ある時、ラジオからエルヴィス・プレスリーの声が飛び出してきました。
「かわいい」と思いました。
その後にはビートルズです。
当時、ビートルズやエレキギターを聴くと不良になると言われました。
ビートルズに会いたくて武道館の前で待っていた若者たちは補導されました。
それはおかしい、みんな元気に楽しくなろうよという音楽なのに、
何でそれが不良になるの?と思いましたが、
私にはそれを説得する力がありませんでした。
その後アメリカで「音楽療法」というものを知りました。
皆、人間はひとつからだの中に楽器を持っています。
それは心臓です。
高等動物である人間は、外からの音やリズムが心臓に同調して同化していくそうです。
ですから、エネルギーのあふれた若者はガンガンのロックを聞くと
エネルギーが解放され心が沈静化してゆくことがあり、
悲しいときは、ロックではなく、静かな音楽を聴くと
精神的に落ち着いたりすることがあるのです。
校内暴力で学校が荒れていた時代に、
ソーラン音頭を踊ったり、ブラスバンドが優勝したりして沈静化したという話も聞きました。
脳や心臓は外からのリズムを取り入れることで、
その人の基本的リズムが整うように出来ています。
だから、こんな音楽はダメなんてことはないのです。
その人にとって一番心地よい音楽が名曲であり、名演奏ということになります。