2014年1月18日放送 親野智可等さん(第1871回)
会場 | 山名小学校(袋井市) |
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講師 | 教育評論家 親野智可等 |
講師紹介 | 1958年静岡県生まれ。公立小学校で23年間教師を務める。 |
会場 | 山名小学校(袋井市) |
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講師 | 教育評論家 親野智可等 |
講師紹介 | 1958年静岡県生まれ。公立小学校で23年間教師を務める。 |
私が今、気になっていることは、親御さんたちが子どもに対して、
「何やってるの、早くやらなきゃだめ」などと否定的な言葉がけをすることです。
そのように言われた時、子どもは大きなダメージを2つ受けます。
ひとつは、「どうせ私なんかだめだ。無理だ」と、
自己肯定感をぼろぼろにさせられること。
もうひとつは、頭でそのことがわかっていても、
自分が否定されたと感じて心の窓を閉じてしまい、
それ以後、素直に聞けなくなることです。
多くの親御さんと付き合ってきて、
なぜこういう否定的な言葉になるのだろうと多くの本を読み、考えてきました。
いくつかの理由の中で大きいのは、
親には「こういう子にしたい」という願いがあるということです。
例えば、片づけがうまいとか、何でもてきぱき出来るとか、
社交的だとか、人に優しいとかです。
でも、理想と現実はあまりにかけ離れていることが多く、
そのギャップの大きさに焦ってしまうケースが多いのです。
そして、このままではまずい、子どものうちに直してやろう、
鉄は熱いうちに打てとばかり、つい否定的な言葉を投げかけてしまうのです。
ところで、ピアノを習い始めると子どもは驚くほど早く上達し、
将棋をやればめきめき強くなります。
また、アメリカに家族で2、3年行くとたちまち英語がうまくなります。
これは、子どもの新しいものを吸収する能力が抜群だからです。
大人はかないません。
だからといって、子どものうちなら苦手なこともすべて直るだろうと考えるのは勘違いです。
才能や性格といった、持って生まれた資質を入れ替えるのと、
新しいものを吸収することは全く別のことです。
資質を変えるためには、モチベーション(動機付け)が必要です。
大人にはそれがあり、子どもにはほとんどありません。
大人は真剣に将来を考えたり、夢を抱いたりした時、
「やるぞ」と、スイッチを入れ自分を変えることができます。
それに対し、子どもは真剣に将来を考えてはいません。
大人のような自己改造能力はありません
目の前のことに夢中で生きているのが子どもであり、
だからこそ子どもは可愛いのです。