2014年2月 1日放送 親野智可等さん(第1873回)
会場 | 山名小学校(袋井市) |
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講師 | 教育評論家 親野智可等 |
講師紹介 | 1958年静岡県生まれ。公立小学校で23年間教師を務める。 |
会場 | 山名小学校(袋井市) |
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講師 | 教育評論家 親野智可等 |
講師紹介 | 1958年静岡県生まれ。公立小学校で23年間教師を務める。 |
親御さんたちの悩みというのは尽きないものです。
よくあるのは、「勉強しなさい」と言ってもやらないとか、
宿題をやらないなどで、最終的には「なぜやらないの」「だめじゃないの」などと叱られて、
子どもはいやいややるはめになります。
私はお母さんたちには、なるべく否定的な言葉は使わないように話しています。
では、どうすればいいのでしょうか。
合理的な工夫をして勉強を始められるようにしてあげるのがいいと思います。
方法はいくつかあります。
私のメールマガジンの読者から教わったものですが、
小学2年生の男のお子さんが学校から帰るとすぐに外に遊びに行ってしまい、
帰ってきても宿題をやらない、
夜になって母親に叱られながらやるというお決まりのパターンだったそうです。
でも、ある時にひらめいたのが、玄関にかばんの中身が入るくらいの箱を置いておき,
帰宅したらすぐにすべてのものをその中に出していくようにさせたそうです。
遊びから帰った時にいやでもそれが目に入り、
手に取る確率が上がって、ガミガミ言うことが少なくなったそうです。
これを一歩進めて考えてみると、
箱の中に出したものの中から必要なものをそろえて机の上に出せば,
さらにハードルが下がるでしょう。
そしてさらに、下敷きも入れ、ノートを開いておけばゴールはもっと近づきます。
出かける前に問題をひとつだけやっておくのもいい考えです。
算数のドリル1問だけ、漢字の書き取り1題だけをやるのです。
すると、いやでもその時に全体を見渡すことになり、見通しがつくのです。
すると本格的に取りかかる時のハードルはぐんと下がるわけです。
仕事でも同じで、見通しのつかない仕事は大変です。
自分の現在地がわからないほどつらいことはありません。
トンネルの先に出口が見えていれば頑張る気持も出てくるので、
さくさくと作業が進むものです。
またある家では模擬時計というのを作っています。
画用紙で本物の時計と同じような模擬時計を作り、
5時半から勉強ならその時刻をさす針の形を記入し本物の時計の横に貼るのです。
するとその時間が近づくと何となく気になりだし、
その時間が過ぎれば落ち着かなくなって「じゃあやるか」となります。
つまり、頭で考えるのでなく「見える化」してしまうことが、
勉強や宿題に取りかかることを容易にしてくれるのです。