2014年4月 5日放送 鈴木光司さん(第1882回)
会場 | 相良総合センター い~ら |
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講師 | 作家 鈴木光司 |
講師紹介 | 1957年静岡県生まれ。 |
番組で紹介した本 | *番組で紹介した本 |
会場 | 相良総合センター い~ら |
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講師 | 作家 鈴木光司 |
講師紹介 | 1957年静岡県生まれ。 |
番組で紹介した本 | *番組で紹介した本 |
本を書くにあたって、自分の生まれてからの人生を思い起こしてみました。
当然、母から聞いた話ですが、生まれた時、へその緒が首に巻きついていて、
泣くことが出来ず、瀕死の状態だったそうです。
幼稚園のころは、兄と川でいかだを作って遊んでいました。
川はやがて海に出、そこは太平洋です。
私はいつか自分の力でこの海を渡りたいと願いました。
小学校では宮沢賢治と出会いました。
伝記を読み、それから詩を書き始めました。
そして、自分の将来やるべきことを決めました。
1、いずれ太平洋を自力で渡る
2、物書きになる
3、転校生の女の子と結婚する(現在の妻)
その時点で私はターゲットを3つ、ロックオンしたのです。
現在と未来を考えた時、未来は茫漠としているものだが、そこに向かって手を伸ばすことによって、
強くイメージすることが出来、そうすると必ず、動きが出てくるのです。
大学では作家になるために哲学が大事だと考え、フランスや欧米の哲学を勉強しました。
そして悩んだことは、人間には意志の自由があるのかどうかということでした。
環境や親からもらったDNAや経験で判断し、決定していることが多い。
すると、経験以外は自分の意志ではないと気付きました。
大いなる悩みでしたが、ある時、自分で決定できるようなチャンスが来たら、
その権利を最大限に発揮しよう、風潮に流されることなく、
徹底的に論理的に考え抜いて決定しようと決めました。
こんな私でも神秘的なことにふれる時があります。
浜松の実家にいる母が、孫たち(私の娘)を連れて散歩に行った先の神社で
「光司が作家デビューできますように」
「光司の小説がベストセラーになりますように」という祈りをささげていてくれたというのです。
祈りは言葉となって漏れ、娘たちに聞こえていたのです。
母は毎日それをしてくれていたそうです。
生まれてきてからのことが胃の腑に落ちたような感覚を覚えました。