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過去の放送

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過去の放送

2014年5月31日放送 相田一人さん(第1891回)

会場 沼津市民文化センター
講師 相田みつを美術館館長 相田一人
講師紹介

1955年栃木県生まれ。相田みつをの長男。1996年から相田みつを美術館の館長を務める。全国各地での講演活動や執筆活動などを行う。2024年、相田みつを生誕100年を迎えた。

番組で紹介した本

・こころの暦「にんげんだもの」
・トイレ用日めくり「ひとりしずか」
・トイレ用日めくり「ひとりしずかⅡ」

第1891回「トイレと日めくり」

私の父相田みつをは生前、2つの日めくりカレンダーを作っています。
ひとつは、「こころの暦 にんげんだもの」です。
もしかすると皆さんのお宅にもあるでしょうか。

もうひとつが、「ひとりしずか」というものです。
なぜ"ひとりしずか"かというと、
タイトルの横に書いてあるように、"トイレ用"だからです。

毎年多くの人が美術館に来てくださいますが、
このカレンダーについての質問を多く受けます。
それは「トイレ以外で使ってもいいですか」というものです。
私は「どこでも自由にお使いください」とお答えしますが、
ほとんどの方がトイレにかけてくださるようです。

なぜそれがわかるかというと、
美術館のアンケートで相田みつををどこでお知りになりましたかという問いに対して、
書店やポストカードなどと並んで「トイレで」という答えが多いからです。

一昨年、美術館にあるご一家が来てくださいました。
その中に中学生の女の子がいて、可愛い感想をくださいました。
それは「我が家では相田みつをさんのことを
"トイレのみつをさん"と呼んでいます」というものでした。
父はあえてトイレの中で見てもらおうとこのひとりしずかを作りました。

『ここは孤独なところ 自分が自分になるところ』
これを読んだある方の感想は、
美術館でこの言葉を見るとピンとこないが、
トイレで見るとなるほどと思うというものでした。

『いまここに だれともくらべない はだかのにんげん わたしがいます』
もトイレにふさわしいと思います。

父のことで誤解を解いておきたいことがあります。
それは父がお坊さんだと思っている方が多いことです。
父も私もお坊さんではありません。

ただ、父は10代の頃から仏縁があって曹洞宗の座禅をしていました。
その曹洞宗を始めた道元禅師が大切にしていたのがトイレで、
トイレの作法についても書き残しているそうです。

私が昨今編集して「ひとりしずかⅡ」を作りました。
その前書きの部分に「自分を習う」という詩を載せました。
仏道は決して難しいことではなく、
自分自身を習うのだというのが道元禅師の教えだそうです。

作品の中にはこんなのものもあります。
『あのねえ 自分にエンジンをかけるのは  自分自身だからね』

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