2014年12月27日放送 きたやまおさむさん(第1918回)
会場 | 大井川公民館(焼津市) |
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講師 | 精神科医・作詞家 きたやまおさむ |
講師紹介 | 1946年淡路島生まれ。京都府立医科大学卒。 |
会場 | 大井川公民館(焼津市) |
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講師 | 精神科医・作詞家 きたやまおさむ |
講師紹介 | 1946年淡路島生まれ。京都府立医科大学卒。 |
分からないという言葉についてずっと気になっていました。
北山は何を考えているのか分からないと言われます。
人の心は見えないわけですから、
簡単には分からないのだと思います。
皆さんも分かってほしいと思いながら、
一方で簡単に分かってたまるかという気持ちもあることでしょう。
まず、分かるって何でしょう?
赤ちゃんがこの世にやって来た時、
あるいは皆さんがこの世に初めてやって来た時、
あるいは私が見知らぬ町に行った時、
「よく分からない」のです。
日本語はすごく良くできていると思うんですけど、
漢字では、「分けられる」と書きます。
ここにいる人はいい人、ここにいるのは悪い人と言う風に、
分けていくのです。
それが私たちの習性と言うか。
心って胃袋と同じだと思うんですけど、
何となく世界が分からない時、未消化って言いますね。
これを何とか消化しようとする。
英語でも、DIGEST(ダイジェスト=消化するの意)は
分かると言うことと同義語なんですね。
腑に落ちるって言いますね。
それと同じ感覚で心の胃袋に落ちるのだと思います。
つまり、心というのは何とかして世界を分けて、消化して、
納得して、腑に落ちるようにする類のものだと思います。
精神科医は
「お前の言っていることはよくわからないから
もう少し分かりやすく言いなさい」
と言われている人たちを取り扱っていることが多い。
一生懸命に生きているのに、お母さんや世の中に
分かってもらえないという思いを抱いている人たちにお会いして、
その問題について何とかわってあげる、
あるいは分かってもらえるにはどうしたらいいのかを
一緒に考えることが仕事です。
分かってもらえないと言うのは、分けてもらえない、
分類されないということなんです。
世界がAとBの二つで出来ていたとして、
そのどちらにも属さない人たち、
いわゆる中途半端と言われる人たちが存在します。
男なのか女なのか、生きているのか死んでいるのか。
そういう存在に対して日本はどうも冷たいように思います。
AなのかBなのか、はっきり線引きをしたがり、
あいまいなものに対しては潔く身を引くことを求める傾向にある。
でも、その状態から抜け出すのは時間がかかります。
私たちはどんな状態になっても、
じっくりと時間をかけてゆっくりと過ごしていきましょう。