2015年2月 7日放送 菊地幸夫さん(第1923回)
会場 | 御殿場市民会館小ホール(御殿場市) |
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講師 | 弁護士 菊地幸夫 |
講師紹介 | 中央大学法学部卒業。元司法研修所刑事弁護教官。 |
会場 | 御殿場市民会館小ホール(御殿場市) |
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講師 | 弁護士 菊地幸夫 |
講師紹介 | 中央大学法学部卒業。元司法研修所刑事弁護教官。 |
私には娘が3人おります。今は上が29歳になりましたが、子育ては失敗の連続でした。
私自身も親に育てられ、自分が親になって育てる段になると、
その1度の育てられた経験しかないから、それと同じことをやればいいと思ってしまいました。
ほとんどの人がそうではないでしょうか。
あんな子にしたい、こんな子にしたいとどうしても期待するあまり、
ついのめりこんで、干渉しすぎてしまうケースが多いと思います。
ただ子育ての最中はそのことに気づかないものです。
よくスポーツの場面で、グラウンドで練習していた子どもたちが
休憩のために荷物のあるところに戻ってくると、
お母さんたちが至れり尽くせり、子どもたちはただ差し出されたコップの水を飲むだけ。
脱いだ衣類はきれいにたたんでくれてある。そんな状況をよく見かけます。
それでいいのかなと思ってしまいます。
地元で無料の市民法律相談をしていますが、中にはお子さんに関する相談もあります。
例えば、子ども同士のけんかや何か物がなくなったとかいうトラブルです。
子ども同士のことについついヒートアップしてしまい、
保護者が介入し、ひいては大人同士のけんかに発展、
学校まで巻き込んでしまうこともあります。
最近の社会一般の傾向かもしれませんが、
どうも相手に対して厳しいことを要求しすぎてしまうような気がします。
本来は子どもの自主性に任せるべきこところなのに、
子どもに任せていたら時間がかかるとか、失敗するとか、危ないとかいう理由で
つい手を出してしまうのです。
失敗してもいいのです。
失敗して痛い思いをして、大人になってから失敗しないようになればいい。
私は父が厳しかったのでその経験にのっとり、
娘たちにも成績や部屋の中のこと、机の上の整理など口うるさく言っていました。
ある夏のこと、事務所の仲間とビアガーデンに行って
ビールを飲みながらその話をしたところ
秘書が「どうして娘の部屋に入るのですか?プライベートですよ」と私をたしなめたのです。
それまで相手の気持ちなんて考えてもみなかったのですが
秘書の言葉で気づかされた私はそれ以来一切小言をやめ、成績も見なくなりました。
そして、家でみんなに謝りました。「今までうるさいおやじでごめんな」と。
ありのままを愛し、見守ることが大切。
私が何も言わなくなったら、子どもも私も重しが取れたようで、
家の中の空気があたたかくなりました。