2015年12月13日放送 和合亮一さん(第1964回)
会場 | 城北小学校(浜松市) |
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講師 | 詩人・国語教師 和合亮一 |
講師紹介 | 1968年福島県生まれ。 |
会場 | 城北小学校(浜松市) |
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講師 | 詩人・国語教師 和合亮一 |
講師紹介 | 1968年福島県生まれ。 |
2011年、東日本大震災後の3月、4月、5月と
ずっと過ごしていく中で、大変励みになったのは子どもたちの存在でした。
たくさんの方が福島を離れて行く中、
子どもたちの姿、子どもたちの声が
どれだけ私たち大人を励ましたか知れません。
普段、日常にある子どもの声というのは1つのバロメーターです。
日々暮らしていく中で、聞こえてくる声は、
小鳥のさえずりや犬の鳴き声のようなものだったりするのかも知れませんが、
それぞれかけがえのないものだと、震災直後から感じました。
沢山の方が福島から避難されて帰って来られない現実があります。
浜通りに行けば、町1つ、2つが全く入れないという現実の中で、
大人や子どもたちが戻ってきても、
昔のような毎日を送るにはいろいろな問題を抱えています。
しかし、そこから目をそむけずに
一緒に見つめていくことが
これからの教育であり子育てのあり方ではないかと思います。
私は授業を通して子どもたちに詩を書くことをさせたり、
子どもたちの書いた詩を読んで、
1つの本にまとめる活動を続けています。
仙台に晩翠賞、青葉賞、若葉賞という、
子どもの詩のコンクールがあって、
私はその審査をさせてもらっています。
その中で、震災のあと、
その現実を言葉にするという多くの詩に出会いました。
☆まほうのつなみ さとうりゅうのすけ
『こわれたおうちはもとどおり
ガソリンスタンドも びょういんも
このえができたら おばあちゃんに
みせるよ
もとにもどった しずがわの え
おばあちゃん げんきをだしてね
このえのように
いつかきっと いいつなみがやってきて
もとのまちになるから
まほうのつなみで
もとのしずがわに もどるから』
これは小学校2年生が書いた詩です。
立派な言葉遣いで、思いを伝えていると思います。
表彰式で会いましたが、とても可愛らしいお子さんでした。
南三陸の手前にある志津川は甚大な津波の被害に遭い、
その風景をさらって行きました。
それを毎日見て悲しんでいたおばあちゃんを励まそうとして
一生懸命書いた詩です。
私はここで、1つの「つなみ」という言葉に出会いました。
震災後、大変な津波の被害があって、
それを口にするとすべてが戻ってきてしまうようで言えなかったその言葉に、
「まほうの」という言葉つけている。
これが子どもの力だと思います。