2017年5月28日放送 小菅正夫さん(第2035回)
会場 | 沼津市民文化センター(沼津市) |
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講師 | 札幌市円山動物園参与 小菅正夫 |
講師紹介 | 1948年北海道生まれ。 |
会場 | 沼津市民文化センター(沼津市) |
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講師 | 札幌市円山動物園参与 小菅正夫 |
講師紹介 | 1948年北海道生まれ。 |
私が旭山動物園に勤務していた時、メスのゴリラが1頭いました。
数年後ある動物園からオスゴリラが来ました。
最初は仲良くしていましたが、
年が経つにつれ喧嘩ばかりするようになりました。
これは近親交配を避ける習性があるからなのです。
本来、ゴリラは別々に育ったオスとメスが一緒になります。
ある時、旭山動物園のオスゴリラが病気で死にました。
そして1年後、メスゴリラも後を追うように息をひきとりました。
死因は不明でした。
旭川医大の先生に死因を調べてもらったら
「人間でいう 『大切な人が亡くなった時、
精神的に参ってしまう病気』 と同じだ」と言われました。
我々はゴリラのそんな性質も知らずに飼っていました。
ゴリラの事を知らずに飼育してはいけないと思いました。
しかし飼育がしたい。
実際の野生のゴリラはどんなものなのか。
私はアフリカのコンゴにある国立公園に行ってきました。
案内人の指示に従い山の中に入っていきました。
そこで野生のゴリラを見る事ができました。
ゴリラたちは私達人間の事など全く気にせず生活していました。
ゴリラの子どもはオスの大きな背中で遊ぶ事が大好きです。
背中で子どもが遊んでいるゴリラはボスになる資格があります。
そんなゴリラを見てメスのゴリラたちはそのグループに入ります。
メスからの信頼も大事ですが、
子どものゴリラに最も愛される存在でなければリーダーになれないのです。
そしてゴリラは絶対に戦いません。
人間が近づいても襲ってくる事がないのです。
「これ以上近寄るな」というポーズだけはとりますが、戦おうとしません。
この野生のゴリラと自分たちの生活を守るため、
案内人たちは森林を切り開き、畑を作りお金を得なければなりません。
国に援助を頼んでも動こうとしないそうです。
私達は案内料として彼らにお金を渡します。
そうする事が森林を切り開かず、
希少動物である野生のゴリラを守る事に繋がります。