2019年1月27日放送 竹下和男さん(第2114回)
会場 | 新原小学校(浜松市) |
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講師 | 子どもが作る“弁当の日”提唱者 竹下和男 |
講師紹介 | 1949香川県生まれ。香川大学教育学部卒業。 |
会場 | 新原小学校(浜松市) |
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講師 | 子どもが作る“弁当の日”提唱者 竹下和男 |
講師紹介 | 1949香川県生まれ。香川大学教育学部卒業。 |
2001年、私は自分が卒業した小学校に校長として赴任しました。
そこでショッキングな光景を目の当たりにしました。
子どもたちが美味しそうに、奪い合うように給食を食べていなかったのです。
昔、私が学級担任をしていた頃は自分のクラスの給食は見事に完食されていました。
それどころか、他のクラスにも余った給食がないかと探す子どもたちもいたほどです。
そんなイメージがあったのに18年ぶりに中学校から小学校に担当が変わり
戻って見た光景は「何かがおかしいぞ」と思わせるものだったのです。
ではどうすれば昔のように子どもたちが楽しく、
美味しそうに給食を食べる事ができるようになるか?
職員会議をする前から私の考えは決まっていました。
それは子どもたち自身に作らせたらいいという事です。
作ってもらうのではなく作らせたら、給食の持つ意味が見え、
子どもたちが成長するはずだと思ったのです。
それが「弁当の日」の始まりでした。
「弁当の日」を始める年度の春休み、
PTA役員のお母さん二人に学校へ来てもらい実施内容を説明しました。
二人のお母さんにはそれぞれ六年生になる娘さんがいました。
説明を聞いたお母さんは二人とも「無理です。」と言いました。
理由は二人とも同じで、
「包丁を持たせた事が無い。ガスコンロに触らせていない。早起きができない。」
という事でした。お母さん方の答えは想定内でした。
この理由を聞いて私は、「いや、子どもは信じれば結構自分でやるものですよ。」とだけ言いました。
私にとってこの日は「弁当の日」を実施するという宣言の日でした。
その後も職員をはじめ、
離婚して一人で子どもを育てているお父さんなどから様々な反対意見がありました。
しかし私は見切り発車で「弁当の日」を実施しました。
それは、子どもたちの脳のバランスが崩れているから
「弁当を作らせる」という事によってバランスが整うだろうという確信があったからです。
この様にして始まった「弁当の日」ですが、私が予期しない様々なメリットが生まれました。