2011年5月 7日放送 小菅正夫さん(第1736回)
会場 | 大井川公民館(焼津市) |
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講師 | 札幌市円山動物園参与 小菅正夫 |
講師紹介 | 1948年北海道生まれ。 |
会場 | 大井川公民館(焼津市) |
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講師 | 札幌市円山動物園参与 小菅正夫 |
講師紹介 | 1948年北海道生まれ。 |
オランウータンは、アジアのボルネオ、スマトラに生息していますが、
数は減ってきています。
各地の動物園で繁殖を試みていますが、
気難しい動物でどう増やすかが大きなテーマでした。
オランウータンは、高い木の上で生活しており、
木を揺らして枝から枝へ渡ってエサをとったり、遊んでいます。
旭山動物園もオランウータンの為に30mの高い2本の塔を作ったところ、
ゆったりした心の落ち着いた状態になりました。
リアンというメスのオランウータンが旭山動物園にいました。
広島からオスを連れてきて繁殖を試み、赤ちゃんが生まれました。
ところが、リアンはヘソの緒が付いたままの赤ちゃんを放置して、
おっぱいをあげませんでした。
出産を理解できず、パニック状態だったのです。
ここからが旭山動物園飼育係の頑張りどころでした。
リアンのおっぱいに赤ちゃんをくっつけ、
三日三晩、一緒に過ごしました。
すると、突然リアンは赤ちゃんを抱いて、
自分のベッドに連れて行きました。
母性本能にスイッチが入ったのです。
オランウータンの赤ちゃんは力がなく、
親がしっかり抱いていないとおっぱいが飲めません。
やっと、親がにおっぱいをあげるということを理解したのです。
リアンの2回目の出産は、お客さんの前でした。
今度は見事に親の仕事をこなしました。
その様子を最初に生まれた子が、必死に見ていました。
リアンは、末っ子で学習する機会がなかったのです。
子育ては本能といわれますが、
ヒト科の動物であるオランウータンにとっては、
決して本能ではなく学ぶ機会が必要だったのです。