テレビ静岡

  • マイページ
  • 会員登録

過去の放送

テレしず ホーム > 番組案内 > テレビ寺子屋 > ジェネラリストよりもスペシャリストを

過去の放送

2020年9月13日放送 汐見稔幸さん(第2196回)

会場 テレビ静岡(静岡市)
講師 東京大学名誉教授 汐見稔幸
講師紹介

1947年大阪府生まれ。日本保育学会会長や
白梅学園大学学長など歴任。ぐうたら村村長。
専門は教育人間学、保育学、育児学。
現代の父親、母親の育児の応援団長をめざしている。

番組で紹介した本 「汐見稔幸 こども・保育・人間 子どもにかかわるすべての人に」著:汐見稔幸、編:新田新一郎(学研教育みらい)

第2196回「ジェネラリストよりもスペシャリストを」

世界の中で比較してみると日本の教育には、ある特徴があります。

それは、「平均的に学力を底上げすることは得意だが

個性を伸ばしていくことは得意ではない」ということです。

こうした特徴には、日本の社会的背景があります。

かつての日本の企業は、先に進んでいた国の製品を分析して

その質を上げることにこだわってきました。

会社ではいろいろな能力を持つ人材が求められ、

受験の総合力で判断するという教育に頼ってきました。

この点、ヨーロッパの企業は、

ジョブ制度といって資格をもとに職人として育てていきます。

ですからこれまでの日本は、

就職ではなく、「就社」というのが正確だと言われてきました。

いまの日本企業は、世界でもトップレベルになり、

各国の企業が日本をまねて改良するという段階に入りました。

日本は世界にないものを作り出さなければなりません。

また、少子高齢化という経験したことのない社会を

人間らしく生きていくためにどういう街づくりをしたらいいのか?

モデルはどこにもありません。

自分たちで考えていかなければならない課題に直面し、

経済も政治も文化もこれまでになかったものを作り出していかなければならない時代です。


社会の大きな変化が背景にあって、

それを担う人材をどう育てるかが大きなテーマになっています。

平均的な「ジェネラリスト」よりも、

ひとつのことに長けている「スペシャリスト」を育てる教育に

変わっていく必要があることを多くの人が気づき始めています。

新しいものを作り出していくことに不安はあるかもしれませんが

実は、社会が求めている人間形成のスタイルなのです。

このため家庭では「子どもは何に興味があるのか?」

「どういうタイプなのか?」をよく見極めて、

いろいろな体験を膨らませてあげることを心掛けて欲しいと思います。

そして何かに興味を持ったら、それを後押ししてあげることも大切です。

とはいえ、自分は何をやりたいのかわからない子の方が多いと思います。

やりたいことはひとつでなくてもいいのです。

そういう育ち方、育て方が大切になってきます。

子どもの頃に楽しいこと、興味を持てることをたくさん持つことが、

スペシャリストを育てるきっかけになります。

このページの先頭へ