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過去の放送

2023年10月 1日放送 齋藤孝さん(第2350回)

会場 磐田市民文化会館かたりあ(磐田市)
講師 明治大学文学部教授 齋藤孝
講師紹介

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、
同大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。
専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。
「声に出して読みたい日本語」ほか、著書多数。

番組で紹介した本 「齋藤孝の大人の教養図鑑」 著:齋藤孝(講談社)

第2350回「つながる教養」

「教養がある」というのはいいな、と思いますよね。どうやって身につけるのでしょうか。

「教養」は、「○○と言えば△△」方式で身につけられると思っています。バラバラだから覚えられない。つながっていれば興味もつながるし、頭の中に定着しやすいのです。

教養は、「知識と知識がつながる喜び」です。そう考えると、今までの教養というのは、ちょっとつながりが悪かったのだと思います。このつながりは、まともにやっていたら面白くありません。鎌倉、室町、戦国、江戸時代と順々に積み重ねていくのもいいのですが、日本の話をしていたら、突然古代ローマに話がいったり、さらにアンデスの方にいったりと、ジャンルが飛んだ方が面白いということもあります。

きっちりとした学問体系で学び、ベースとなる学校教育は大事なものです。ただ、教養というのは、学校教育で身につけるものとはまたちょっと違い、自分の楽しみのため、生きる楽しみのためでもあります。ですから、一人一人が自分流にアレンジしたものが教養、「マイ教養」なのだと思います。


教養を身につけるには、「ほー!」と驚く素直さが大切で、すごいことがあったら、「へー!」「ほー!」「これは大変なことだ!」と驚く、その練習が必要です。「深い理解」というとキリがないのでそこはちょっとあきらめて、無理せず、とりあえず知っておくということです。とりあえず知っておいて、別の知識とつながればいいという考えです。

例えば、小柴先生が「スーパーカミオカンデ」で発見した「ニュートリノ」。ニュートリノはすごすぎて、人体や地球、全てを通り抜けてしまうそうです。通り抜けるものを発見したのですから、すごいですよね。「ほー、すごい、すごすぎるよ、ニュートリノ!」というふうに感動しながら人に話すと、それで記憶に残ります。そこから別のものとつなげることが大事です。つなげ方はいくらでもあります。「通り抜けるといえば、透き通っている。ということは透明、透明と言えば透明人間」という感じです。強引につなげたように感じられますが、自分の中でつながっていればそれでいい。自分中心に知識を振り回すというイメージです。

つなげ方は自在です。これに気づくと、知識はすごく自由なものだと分かります。何でもつなげる力、引き付ける力です。自分なりにいろんなつなげ方をして話せば良いのです。「○○と言えば」方式のトレーニングをしてください。

脳というのは基本、ネットワークです。つながりを良くしていくと楽しくなる。「何かと何かが出合う」って面白いですよね。知識と知識が出合うときに、頭の中で「ファーン」とファンファーレが鳴ります。

自分の苦手な分野も含め、雑誌や本で知識を拾っていきます。ちょっとした知識でいいのです。図鑑もいいですね。小学生の図鑑というのは、最近はものすごく優れています。子ども向けの図鑑ですから、大人が読んでも分かりやすいです。大人なだけに理解力があり、子どもの図鑑で学習した大人は強力です。

ぜひみなさん、「○○と言えば△△」方式で教養を増やしていただければと思います。

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