2011年11月26日放送 竹下和男さん(第1764回)
会場 | 磐田市立豊田南小学校 |
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講師 | 子どもが作る“弁当の日”提唱者 竹下和男 |
講師紹介 | 1949香川県生まれ。香川大学教育学部卒業。 |
会場 | 磐田市立豊田南小学校 |
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講師 | 子どもが作る“弁当の日”提唱者 竹下和男 |
講師紹介 | 1949香川県生まれ。香川大学教育学部卒業。 |
私が「子どもひとりで作る"弁当の日"」を提案した香川県の滝宮小学校では、
5年生になって初めて子どもたちが弁当を作ります。
しかし、それまでに学校で先輩の作った弁当を見てきて、
早くあんな弁当が作りたいと少しずつ家で練習をして、
初めてでもきれいな弁当を作る子どもがいました。
今日出来なくても明日にはできるようになる。
その思いで見ていると、子供をほめる場面が増えます。
2年間"弁当の日"を続けたあと、異動先の綾上中学でもやりました。
ある中学生の男の子は、"弁当の日"に、カバンの中から皿を取りだしました。
その次にラップされた、焼いたアジ。
旬の弁当を作るというテーマで、彼が考えたアジの丸焼きですが、
大きくて弁当箱に入らなかったのですね。
別の男の子が4回目の弁当の日に持ってきた弁当は、
ご飯の上に黒こげの野菜や肉が乗っていました。
実は過去3回は母親が作っていたのに、他の友達がどんどん自分で作って持ってくるようになり
、「このままではまずい」と、4回目にして初めて自分で作ったのです。
教室でみんなに「黒こげ弁当」を見せると、
「よくやったな」「次も頑張れよ」と励まされたそうです。
私はこの弁当を「独立宣言」と名付けました。
ある時、私の講演を聞いた中学生の女の子が手紙をくれました。
『私は毎日、母と弟のために食事を作っています。父はいません。
でも、母がいつも、もっとましなものが作れないのかというのです。
そんな母を憎んできましたが、今日気づいたことがあります。
お母さんが夜遅くまで働いてくれるから、食材が買える。
お母さんが夜いないから、私は料理の技術を身につけることができる。
今日からは、お母さんに感謝しながら生きていきます。』
私はそれを読んで校長室で何度も泣きました。
義務教育を終えるまでに、感謝の気持ちを心の真ん中における子を育てるのが、
"弁当の日"に寄せる私の思いです。