2008年2月 9日放送 山元加津子さん(第1571回)
会場 | 藤枝市立高洲小学校(藤枝市) |
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講師 | 作家・エッセイスト 山元加津子 |
講師紹介 | 1957年、金沢市生まれ。 |
会場 | 藤枝市立高洲小学校(藤枝市) |
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講師 | 作家・エッセイスト 山元加津子 |
講師紹介 | 1957年、金沢市生まれ。 |
私は養護学校の教員になる前に、小学校の講師をしていました。
大学を卒業したばかりの私が休養中の先生の代わりとして赴任しましたから、親御さんは不安で仕方なかっただろうと思います。しかし、子ども達はとても元気で明るくて、初めて教室に入った時に、駆け寄ってきてくれたことを覚えています。
そして、教科書を忘れた子をクラス全員で慰めるようなとても優しい子ども達でした。
ある日、油粘土を使った授業を行いました。その授業の後の休み時間に、子どもに呼ばれて階段の踊り場に行ってみると、クラスの子ども達が集まっていたのです。天井を見上げると、油粘土が穴に埋め込まれて油染みがたくさん付いていました。職員会議で、教頭先生から「教室はきれいに使いましょう」と注意されたばかりだったので、私は大変なことをしてしまったと思いました。その他にも色々な失敗があったので、子ども達のことは大好きだけど、私には教師は向いていないんじゃないかと悩みました。
校長室に呼び出された私は、きっと油粘土の件で怒られるんだと思いましたが、校長先生は「愉快、愉快!」と笑って迎えてくれました。私が来る前に子ども達が校長室に来て「先生は悪くない」と私をかばってくれたと言うのです。そして、どんなキャリアのある先生よりも、若い先生の「子ども達が大好きだ」という気持ちに勝るものは無いと言ってくれました。私は、子ども達の真っ直ぐな気持ちと、やさしさのお陰で、今教師として仕事ができることを幸せに思っています。