2010年4月10日放送 長倉洋海さん(第1682回)
会場 | 浜松市立上島小学校 |
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講師 | フォト・ジャーナリスト 長倉洋海 |
講師紹介 | 1952年北海道生まれ。 |
会場 | 浜松市立上島小学校 |
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講師 | フォト・ジャーナリスト 長倉洋海 |
講師紹介 | 1952年北海道生まれ。 |
世界各地で写真を撮り続けて30年になります。
私は、その地で生きている人達の生の声を聞いてから
シャッターを押すことを心がけています。
子どもを撮影していると、家族に出会います。
子ども達が家に招待してくれるのです。
中でもコソボで会った家族は印象に残っています。
皆さんの記憶にあると思いますが、1999年、大規模な民族紛争が起こり、
約200万人の人達が家を失ったと言われています。
私が初めてコソボを訪れた時は紛争も落ち着き、
国外に逃れていた人達が戻ってきたころです。
しかし、多くの地雷が残っており、安心できる状態ではありませんでした。
その地雷があるかもしれない所で、子どもを中心に、
破壊された家の後片付けをしている家族に出会いました。
その家族10人は親戚の家に身を寄せていました。
私は子どもと仲良くなり、写真を撮らせてもらいました。
4年後、その家族の写真集を持って、会いに行きました。
彼らは家を再建している最中でした。
紛争でご主人が仕事をなくし、経済的に苦しく、家造りは進んでいなかったのですが、
NGOが家の資材を提供してくれたのです。
家族10人にしては、二間の小さな家でしたが、一家は楽しくのんびりと家を造っていました。
ご主人の性格なのか、すぐに休憩をし、
私の持参したサッカーボールで子ども達と遊んでしまうのです。
親戚は心配していましたが、私はこの家族が大好きになりました。
心が温まり、ほっとするのです。
家族というのは、血の繋がりや一緒に住んでいることだけでなく、
悲しいことやうれしいことを一緒に体験することが、本当の家族なのではないでしょうか。