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過去の放送

2012年5月12日放送 尾木直樹さん(第1787回)

会場 大井川公民館(焼津市)
講師 教育評論家 尾木直樹
講師紹介

1947年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、
教師として22年間子ども主役の教育を実践。
その後大学教員に転身し22年教壇に。現在は
法政大学名誉教授、臨床教育研究所「虹」所長。

番組で紹介した本

*番組で紹介した本
「危機の大学論」著者:尾木直樹・諸星 裕
 (角川oneテーマ21・税込760円)

第1787回「日本の教育の未来」

大学の秋入学が話題になっていますが、実はそこにすべての問題が隠されています。
一体なぜ今なのかと思うかもしれませんが、1980年代の半ばには一度議論されていて、
あの時にやっておけばよかったと思います。
今回は本気です。

日本の状況を言いますと、去年5月の統計で東京大学では、
海外への留学経験者が1万4千人の学部生のうちの53人、わずか0.4%ほどしかいませんでした。
若者はもっと冒険心と言うか、外に出て行ってほしいのに引きこもっているような状況です。
それは就職難の不安や経済的な問題があるのかも知れませんが、世界中がそうではなく、日本だけなのです。

外国を見ると、中国ではここ数年で毎年20%以上留学生が増加していますし、韓国やインドも増えています。
逆に日本は10%以上減り続けていて、アメリカに留学する学生はひところに比べ、激減しています。
エール大学などは日本にやってきて留学を勧誘しているのが現状です。

欧州では、大学入試がないのが常識です。
授業料もかかりません。
段階的にでも、授業料を無料にしていこうという国がほとんどで、
世界広しと言えども、それを実践していないのは日本とマダガスカルのたった2ヶ国です。

なぜか?それくらい高等教育を充実させないと、国家がつぶれると考えているからです。
教育は国家のライフラインととらえて、国がお金を投入し、優秀な人材を育てようとしているのです。
個人のレベルでは、教育は安全に幸せに生きてゆくための人生前半期の社会的投資という表現をします。

ヨーロッパや中国の現状を視察しましたが、こうした改革はすでに終了していました。
秋入学はこうした現状に対する日本の焦りの表れです。
点数を取るだけの詰め込み教育は過去の産物として忘れ、
しっかりと社会に適応でき、コミュニケーション能力を備えた力強い人材を育てないといけません。

今を大きな歴史の転換期ととらえ、皆で教育を考えていきましょう。

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